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近隣住民宅がうるさい! 騒音問題の解決方法を弁護士が解説します

2019年09月19日
  • 一般民事
  • 騒音
  • 弁護士
近隣住民宅がうるさい! 騒音問題の解決方法を弁護士が解説します

札幌市ではホームページで、生活騒音をテーマに注意喚起やトラブルの解決方法などについて紹介しており、市には生活騒音に関するさまざまな相談が寄せられているようです。

騒音トラブルというと、たかが音の問題と軽く捉える方もいるかもしれません。しかし、実は騒音は頭痛や睡眠障害などの深刻な健康被害を引き起こす危険性があるため、早い段階で対処するべき問題なのです。

しかし、近隣住民との騒音トラブルは近所付き合いもあり、なかなか解決することが難しい問題でもあります。これ以上は耐えられない、健康被害がでたため通院費用を賠償してほしいとなった場合、どのように解決すればよいのでしょうか。

そこで今回は、騒音トラブルの解決方法や、健康被害を生じてしまった場合などに損害賠償を請求する基準について、札幌オフィスの弁護士が解説します。

1、騒音トラブルの種類

一般的に問題になりがちな騒音には次のようなものがあります。

  • 子どもが走り回る、飛び跳ねるなどして床に響く音
  • 楽器、歌声、テレビ、ラジオの音
  • ペットの鳴き声
  • 掃除機や洗濯機などの音
  • エアコンの室外機の音

他には、建物を建築中の作業音、カラオケ店や飲食店から漏れてくる声など、業者を相手にした騒音トラブルもあります。

しかし、工場などから生じる騒音や、一定の建設作業などは騒音規制法の対象となりますが、生活騒音は対象となりません。したがって騒音トラブルは当事者間の話し合いが基本となりますが、双方の話し合いでは解決せず、調停や裁判などに発展することも往々にしてあります。

2、騒音トラブルの解決方法

生活音は、音を生じさせている側からすると迷惑をかけている認識がなく、また近隣住民同士のコミュニケーション不足もあり、話し合いが殺人事件などの深刻なトラブルに発展するケースもあります。

そうならないよう、穏便な解決に向けて第三者を間に入れて話し合うなど、段階を踏んで行動するようにしましょう。

  1. (1)第三者へ相談し穏便な解決を目指す

    まずは第三者へ相談し、角を立てず伝えてもらう方法が考えられます。

    マンションやアパートであれば管理会社や管理組合、不動産会社、大家など、一軒家であれば町内会長などが相談先として考えられるでしょう。貼り紙や回覧板で注意を促す、相談者の名前を伏せて苦情が発生している旨を伝えるなどの対策をとってもらえることがあります。

  2. (2)調停による合意解決を目指す

    調停は裁判所へ申し立てを行い、中立公平な立場である調停委員会を間に入れ、話し合いによる解決を目指す手続きです。調停委員会は双方の主張を聞き、整理したうえで解決案を提示します。

    騒音トラブルの場合、本来であれば我慢できる程度の音なのに、次第にささいな音が気になるようになってしまい、冷静な判断ができなくなってしまうことがあります。相手方にしても、苦情をいわれてついかっとなり、近隣へ配慮する気持ちを忘れてしまうことがあるでしょう。

    調停ではお互いが冷静に問題と向き合うことができ、双方にとってよい解決方法が見つかる可能性があります。

  3. (3)裁判による決着を目指す

    個別の話し合いや調停でも解決できない場合は裁判を利用し、騒音の差し止めや損害賠償を求めます。

    裁判で有利な判決を得るには客観的な証拠が必要です。証拠の種類には、騒音の測定値、近隣住民の証言、マンションの構造や性能が分かる資料、健康損害を受けた場合の診断書などが挙げられます。

    測定値について、札幌市では1週間を限度に騒音計の貸し出しも行っているようです。利用してみることもひとつの手です。なお、騒音トラブルの裁判ではかなり高度な専門知識が必要となります。個人で対応することは非常に難しいことから、弁護士に一任することが望ましいといえます。

3、騒音トラブルで損害賠償請求する際の基準

音の感じ方は人それぞれであり、モラル低下やコミュニケーション不足によりトラブルになることがあります。また、前述のとおり、生活騒音に関する規制はありません。そのため、騒音トラブルを理由に損害賠償の裁判を起こしたとしても認められないケースが多いでしょう。

では、実際に損害を受けているとき、どうしたら損害賠償請求を行えるのでしょうか。

  1. (1)受忍限度

    騒音によって精神的な苦痛を受けた、睡眠障害などの健康被害が生じているといった場合、損害賠償の請求を検討することもあるかと思います。

    その際は、「受忍限度」を越えているかどうかが、損害賠償を求める基準となります。これは、社会通念に照らし、一般に我慢するべき限度を超えているか否かを検討し、限度を超えている場合には違法行為とするというものです。

    受忍限度には明確な基準がありませんが、騒音の場合は次のような要素を総合的に判断します。

    • 音の種類や性質
    • 音の大きさ、発生する場所
    • 音が発生する頻度、継続する期間、時間帯
    • 音が発生する地域の環境
    • 集合住宅における性質や一般性

    たとえば同じ程度の音の大きさであっても、閑静な住宅街で毎日のように発生する音と、歓楽街や工場地帯でたまに発生する音とでは、性格が大きく異なります。また社会通念上、集合住宅では上下左右の部屋へ音が伝わりやすいことから、音の発生を抑える努力は一軒家以上に求められるものと考えられています。

    こうした点に加え、音を生じさせている側が防音措置を講じているか、苦情に対して誠実な対応をしているかといった点も考慮されます。いずれにしても、損害賠償請求を行うためには客観的な証拠が必要不可欠となります。必ず準備しておきましょう。

  2. (2)騒音トラブルで損害賠償が認められた事例

    マンションの1階の住人が、上階の住人に対して損害賠償を求めた裁判例があります(東京地裁平成24年・3・15判決)。

    原告は、上階に住む子どもが毎晩深夜まで走り回ったり飛び跳ねたりして騒音を生じさせているが、子どもの親が配慮する義務を怠ったため精神的な損害を受けているとして、騒音の差し止めと、不法行為にもとづく損害賠償を求めました。裁判所は請求を一部認め、上階の住人に対して騒音の差し止めと、調査費用を含めた賠償金の支払いを命じています。

    騒音が生じてから裁判で判決がでるまでの経緯は次のとおりです。

    • 原告は管理人へ相談し、管理人はマンションの全戸に対して騒音を生じさせないように注意喚起する書面を配布したが改善がみられなかった。
    • 原告はストレスにより体調不良に陥って通院し、自律神経失調症と診断された。
    • 原告は業者に約65万円の費用を支払い、騒音測定調査を依頼した。
    • 調査によって、問題となる音は、重量衝撃音(子どもの体重に近い重量物を高さ1m程度から落下させたときの床衝撃で発生する音)にあたり、上階に住んでいる子どもの飛び跳ねなどによる騒音と推認された。

    裁判所は証拠などから次のように判断し、請求を認容しました。

    • 当該マンションにおけるフローリングの遮音性能と照らしても、通常子どもが発する走り回りや飛び跳ねの音を超えている。
    • マンション周辺の環境からして、子どもの飛び跳ね以外の衝撃音が伝搬するとは考えにくい。
    • 親は子どもに対し、騒音を生じさせないように配慮するべき義務があったのに怠ったことは、原告の受忍限度を超えて不法行為を形成する。

4、騒音トラブルは弁護士へ相談しましょう

ご自身が騒音に耐えられないと思っていても、受忍限度の基準は個別の事案ごとに異なります。そこで、そもそも損害賠償請求が可能な案件なのかどうか、弁護士の法律的な知見から判断してもらうことが望ましいでしょう。

受忍限度を超えない生活音について差し止めや金銭を求める行為は、反対に相手方から訴えられかねません。実際、執拗な苦情申し立てが名誉感情を侵害すると認められた事例もあります。

まずは、弁護士のアドバイスを受けて、差し止めや賠償請求が必要なのかを整理し、管理会社などを通じて注意するよう伝えてもらう、弁護士を代理人とした個別の交渉を行うなどしましょう。交渉に慣れている弁護士であれば有利な条件を引き出しつつ、騒音への配慮を求めることに期待できます。

それでも改善されないのであれば法的手段を検討することになります。しかし、交渉を行う前から弁護士へ相談しておくことで、裁判までの経緯が整理され、また証拠収集のアドバイスを受けることができます。結果的に裁判となったとしても、有利に進められる可能性を高めることができるでしょう。

5、まとめ

今回は騒音トラブルについて、解決の方法や損害賠償請求をする際の基準を中心に解説しました。

近隣住民との間に生じた騒音トラブルは、できるだけ話し合いによる解決を目指したいところですが、いきなり本人に苦情を申し立てても余計に問題がこじれるおそれがあります。

違法行為にあたるほどの騒音なのか、損害賠償の請求が可能なのかといった点については弁護士のアドバイスを受け、慎重に対処したほうがよいでしょう。近隣トラブルについては、ベリーベスト法律事務所札幌オフィスでも相談を承ります。丁寧に事情をお聞きし、適切な解決案を提示しますので、お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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