出会い系サイトで詐欺被害にあった! お金を取り戻すための相談先

2021年10月28日
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出会い系サイトで詐欺被害にあった! お金を取り戻すための相談先

令和3年9月、出会い系アプリを通じて知り合った相手に仮想通貨投資を持ち掛けられ詐欺被害に遭う方が増加していることから、北海道警察が注意を呼び掛けているという報道がありました。

詐欺の防止などを目的に、メジャーとされる「出会い系サイト」や「マッチングアプリ」の多くが、登録・利用するために身分証明を必須としているようです。しかし、それでも詐欺行為を目的にしたアプリや登録者が存在している事実は否定できません。

そこで、今回は、「出会い系サイト」や「マッチングアプリ」で詐欺被害にあった場合の相談先や損害賠償の請求方法について、弁護士が解説します。だれにも言えず悩んでいるという方はぜひ参考にしてください。

1、出会い系詐欺とはどのような詐欺?

  1. (1)出会い系サイト・マッチングアプリ自体が詐欺を目的としているパターン

    ① 課金詐欺
    課金詐欺とは、出会い系サイトやマッチングアプリの登録料や利用料が「無料」となっていたので、登録、あるいは、アプリをダウンロードして使用していたら、いつのまにか課金されているというものです。1回だけの場合もあれば、毎月課金してくる場合もあります。

    また、当該サイトやアプリの利用自体は無料でも、至る所にボタンなどが配置されており、それをクリックすると、別の画面が開き、「登録ありがとうございます」などと表示され、登録料の名目で請求してくるというパターンもあります。

    課金される場合には、解約してしまえばよいと思うかもしれませんが、このような悪質なサイトは解約する場合には高額な違約金を請求してくることがあります。そのため、解約したくても解約できないという状況に陥ってしまうようです。

    ② サクラ詐欺
    出会い系サイトやマッチングアプリは、異性との出会いを目的にしているものがほとんどです。しかし、中には、一般登録者は数少なく、男性には女性のサクラ、女性には男性のサクラを用意しておいて、登録すると、サクラから連絡が来るという形で運営しているサイト等もあります。

    登録した方は、異性から連絡が来れば返事をしたくなりますが、メールをするのに1回数百円から数千円かかかる仕組みになっています。そのため、サクラは、連絡が途絶えないようするため、気のあるような内容のメールを何度もしてきます。連絡し合ううちに夢中になり、気づいたら大金を支払わされていたということになるケースがこれにあたります。

  2. (2)出会い系サイト・マッチングアプリで知り合った人が詐欺をするパターン

    ① デート商法詐欺
    出会い系サイトやマッチングアプリに登録すると、異性の登録者から連絡があり、何度かやり取りをしているうちに、会おうという流れになります。実際に会うと、「行きたいところがある」と言われ、宝石店などに連れて行かれます。

    お店に入ると、「宝石は資産価値があるから、買っておいた方がよい」とか「指輪は結婚するときに使える」など、販売員と共同して購入を勧め、買わせるという手口です。宝石以外にも、投資用不動産を勧められる場合もあります。「購入を断ったら付き合うことができなくなる」という心理を利用した詐欺です。

    その他、マルチ商法、イベント、セミナー、宗教の勧誘の場合もあります。サイト自体は健全でも、そのようなサイトを利用してこれらに勧誘され、最終的には金銭を支払わされます。

    ② 結婚詐欺
    結婚詐欺は昔からある詐欺です。婚活パーティなどに参加して、カモになるような人に近づき、結婚をエサに、「親が病気になって治療費が必要になった」や「事業でどうしてもお金が必要」などと理由をつけてお金を要求してきます。

    最近は、新型コロナの影響もあって、婚活パーティが開けなくなっているので、出会い系サイトやマッチングアプリを利用して、相手を物色する詐欺師も増えているようです。結婚詐欺は時間を掛けて相手を信用させるため、はじめのうちは、プレゼントをくれたり、ご馳走してくれたりします。信用が得られた段階で、「お金が必要になった」と言われるので、騙されていることに気づきにくいという特徴があります

2、出会い系の詐欺被害にあったときにはどこに相談すればよいか

出会い系サイトやマッチングアプリを通して詐欺被害にあってしまった場合、以下のところで相談ができます。

  1. (1)地方自治体の消費生活センター等

    アプリそのものが詐欺を目的としていたと考えられるケースの場合、まずは消費生活センターなどに相談することをおすすめします。

    各地方公共団体は、消費者のための相談、あっせん業務を行う機関として「消費生活センター」を設置しています。消費生活センターでは、悪質商法によって被害を被ったような場合に相談することができます。また、すべての市区町村には、「消費生活相談窓口」が設置されています。こちらでも、消費生活センターと同様、相談やあっせんを受けることができます。

    なお、どこに相談してよいかわからない人のために、「消費者ホットライン」という3ケタの電話番号「188番」があります。ここに電話をすれば、最寄りの「消費生活センター」か「消費生活相談窓口」につながります。土日祝日は、各自治体の「消費生活センター」や「消費生活相談窓口」が開所していない場合があるので、その場合には、「国民生活センター」に電話がつながり、相談することができます。

  2. (2)警察

    アプリに非がなく、登録者に騙され、直接お金を渡してしまったなどの場合は、警察に相談しましょう。いうまでもなく詐欺は犯罪です。したがって、最寄りの警察に被害届を提出することができます。

    警察の捜査により犯人が逮捕されれば、起訴され、刑罰を科すことができるかもしれません。ただ、犯人が逮捕されても、被害にあったお金は返ってこないことがほとんどなので、それを回復するためには、民事裁判を起こして損害賠償を請求するしかありません。

3、詐欺被害にあった場合、損害賠償請求はできるのか

  1. (1)損害賠償請求ができるケース

    詐欺被害にあった被害者は、不法行為に基づく損害賠償請求を行えます

    また、被害者が登録料を支払ったにも関わらず、サイトやアプリ側が実際には出会いを促すような業務を一切行っていなかったことが明らかになったときなどの場合は、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができます。

    なお、いずれの場合においても被害にあった側が、「請求する相手が不法行為や債務不履行をした事実」を証明しなければなりません証拠となりうるものはすべて保存しておきましょう。証拠をすべて捨ててしまった場合などのケースでは、残念ながら請求は難しくなります。

  2. (2)損害賠償請求には時効がある

    損害賠償請求権には、時効があります。不法行為に基づくものは、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年、または不法行為のときから20年の経過により消滅時効が完成してしまいます。債務不履行に基づくものは、被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年、または履行期から10年の経過により消滅時効が完成してしまうのです。被害にあったことに気づいたら、すみやかに権利行使する必要があるでしょう。

    もし時効が近いときには、内容証明郵便で加害者に請求することで、時効の進行を一時的に止めることができます弁護士に相談するなどして諦めないようにしてください

    なお、損害賠償について時効が完成してしまった場合でも、損害賠償してもらえる場合があります。それは、相手が時効を援用しない場合です。加害者が詐欺罪で逮捕されているような場合、起訴を免れるために、被害弁償をするということがあります。被害弁償をしなければ起訴されてしまう可能性が高いので、加害者としては時効になっていても被害額を支払ってくるということがあります。

4、出会い系詐欺の損害賠償を請求するなら弁護士に相談

出会い系サイトやマッチングアプリで詐欺被害にあった場合、損害賠償請求をすることができると説明しました。

しかし、相手は詐欺師ですから、自分で交渉するのは大変なことです。そもそも、たとえ明確な証拠があったとしても、相手が詐欺を認めるとは限りませんまずは警察に相談し、必要な手続きを行ってくださいそのうえで、損害賠償を請求する場合の交渉は弁護士に依頼したほうがよいでしょう

弁護士であれば、時効期間について配慮しながら、適切な対応を行えます。また、被害者に代わり交渉も行います。相手も、弁護士が代理人となって請求してくると、民事裁判あるいは、刑事告訴がなされるのではないかと危機感を抱き、自ら被害額を弁償してくることがあります。

裁判となれば、証拠や訴状、準備書面などが必要となります。法律の知識がなければ訴訟を進行するのは難しいものです。被害にあったらすみやかに警察に相談し、損害賠償請求を決意したときは弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

今回は、出会い系サイトやマッチングアプリで詐欺被害にあった場合の相談先や損害賠償を請求することができるのかなどについて解説してきました。

損害賠償請求を検討する場合は、時効がありますので、すみやかな対応が求められます。相手は、言葉巧みな詐欺師ですから、被害者が損害賠償を請求しても言いくるめられてしまう可能性も高いと考えられます。弁護士が間に入って交渉することによって、適切な対応をしてもらえる可能性が出てきます。何より、あなた自身が騙された嫌な相手と交渉しなくて済むというのが弁護士に依頼する最大のメリットとなるでしょう。

ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスでは、民事上の損害賠償請求についてのご相談を承っています。詐欺被害にあってしまったという場合には、ぜひご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています