定時株主総会はいつまでに開催すればいい? 日程決定や必要な準備

2023年09月07日
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定時株主総会はいつまでに開催すればいい? 日程決定や必要な準備

令和3年に札幌証券取引所において取引された株は1億4837万株でした。株式を発行している株式会社は、1年に1回、必ず定時株主総会を開催しなければなりません。

定時株主総会の開催時期は、決算月から3か月以内としている企業が多いです。しかし、会社法で開催時期が法定されているわけではないので、自社の実情に合わせて開催時期を設定しましょう。

今回は、定時株主総会の開催時期や手続きについて、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士が解説します。

1、定時株主総会の開催時期|いつまでに開催すべきか?

定時株主総会の開催時期については、会社法において明示的な規定がありません。したがって、開催時期は会社によって異なりますが、定款の定めに反しない時期に開催する必要があります。

  1. (1)定時株主総会は年1回の開催が必須|ただし時期は法定されていない

    定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければなりません(会社法第296条第1項)。

    会社法の上記規定からは、定時株主総会を年1回開催することが必須であると読み取れます。しかし「毎事業年度の終了後一定の時期」とされているだけで、具体的な開催時期については明示されていません。

    なお、臨時株主総会(定時株主総会以外の株主総会)については、必要がある場合はいつでも招集可能です(同条第2項)。

  2. (2)定款の定めに従って開催する必要がある

    株式会社では、定款において定時株主総会の開催時期を定めるのが一般的です。

    <定款の規定例>
    当会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3か月以内にこれを招集する。


    定款で開催時期が定められている場合は、その規定に反しない時期に定時株主総会を開催しなければなりません。定款の定めに反する時期に定時株主総会を開催すると、株主総会決議が取り消される可能性があるので注意が必要です(会社法第831条第1項第1号)。

2、定時株主総会は事業年度終了から3か月以内が一般的|その理由は?

日本の株式会社はその大半が、定時株主総会の開催時期を「事業年度終了から3か月以内」と定めています。

具体的な開催時期は各社の都合に合わせて決まっているものの、「事業年度終了から3か月以内」という開催時期の定めが多い理由は、主に以下の3点と考えられます。



  1. (1)議決権行使は基準日から3か月以内であるため

    株主総会における議決権は、開催日当日に株主である者が行使できるのが原則です。

    しかし、上場会社の場合は常に株主が入れ替わるため、招集通知の発送時と株主総会の開催時で株主は異なるのが通常です。会社としては、把握していない株主に議決権を行使されてしまうと、事務処理がきわめて煩雑になってしまいます。

    そこで会社法では、一定の日(=基準日)において株主名簿に登録され、または記録されている株主に、株主総会における議決権行使を限定することを認めています(会社法第124条第1項)。
    多くの上場会社では、基準日を原則として事業年度の末日と定めています。

    ただし、基準日株主による議決権の行使は、基準日から3か月以内に行われなければなりません(同条第2項)。そのため、上場会社における定時株主総会は、基準日である事業年度の末日から3か月以内に開催されるのがスタンダードになっています。

  2. (2)法人税の申告期限前に決算を確定する必要があるため

    株式会社は原則として、事業年度終了日の翌日から2か月以内に、法人税等の申告・納付をしなければなりません。

    ただし、定款の定めによって上記期間に定時株主総会が招集されない場合などには、税務署への申請によって、法人税等の申告期限を事業年度終了日の翌日から3か月後まで延長できます。

    法人税等の申告をするためには、その前提となる決算を確定させなければなりません。決算に伴い作成する計算書類および事業報告は、定時株主総会に提出または提供した上で、その承認を受ける必要があります(会社法第438条第1項、第2項)。

    上記のとおり、法人税等の申告期限は、延長によって「事業年度終了日の翌日から3か月後」となるため、定時株主総会は遅くとも事業年度終了から3か月以内に開催されるのが通常です。

    参考:「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請」(国税庁)

  3. (3)株主総会の準備期間を長めに確保したいため

    上場会社の場合、株主の数が非常に多く、招集手続きなどに多大な時間や工数がかかります。そのため、株主総会開催の準備期間はできる限り長めに確保したいところです。

    前述のとおり、議決権行使の基準日や法人税等の申告との関係から、定時株主総会は遅くとも事業年度終了から3か月以内に開催するのが一般的です。

    その上で上場会社では、できる限り長く準備期間を確保するため、決算月から3か月後の月(特に後半が多い)に定時株主総会を開催するケースが多くなっています

    これに対して、株主総会の開催準備にそれほど手間がかからない非上場会社では、決算月から3か月後の月を待つ必要はありません。たとえば、法人税の原則的な申告期限(事業年度終了日の翌日から2か月以内)に間に合うように、早めの段階で定時株主総会を開催することも考えられます。

3、定時株主総会を開催する際の手続き

定時株主総会を開催する際には、以下の流れで対応を行います。



  1. (1)取締役会で招集事項を決定する

    取締役会設置会社の場合、定時株主総会の招集事項は取締役会が決定します(会社法第298条第1項、第4項)。取締役会が決定すべき招集事項は、以下のとおりです。

    • ① 株主総会の日時・場所
    • ② 株主総会の目的事項
    • ③ 欠席株主の書面による議決権行使を認める場合は、その旨
    • ④ 欠席株主の電磁的方法による議決権行使を認める場合は、その旨
    • ⑤ その他会社法施行規則63条で定める事項


    なお、取締役会非設置会社の場合は、取締役が招集事項を決定します。

  2. (2)招集通知・株主総会参考書類を発送する

    株主総会の開催に先立ち、取締役は株主に対して、招集事項を記載した招集通知を発送しなければなりません(会社法第299条第1項)。

    公開会社の場合は開催日の2週間前まで、非公開会社の場合は開催日の1週間前までに、それぞれ招集通知を発送する必要があります。

    また、欠席株主に対して書面または電磁的方法による議決権行使を認める場合は、株主総会参考書類の発送も必要です(会社法第301条、第302条)。

    なお、株主の承諾を得た場合に限り、招集通知および株主総会参考書類の交付を電磁的方法により行うことができます(会社法第299条第3項、第301条第2項)。

  3. (3)株主総会当日|報告・議案の審理・採決

    定時株主総会の開催当日には、事業報告などの報告や、計算書類の承認・役員の選解任などの議案の審理採決が行われます。

    株主総会決議は、原則として出席株主の過半数による「普通決議」です。ただし一定の重要事項については、「特別決議」や「特殊決議」として可決要件が加重されます。

  4. (4)株主総会議事録を作成・保存する

    定時株主総会が終了したら、取締役が株主総会議事録を作成します(会社法第318条第1項、会社法施行規則第72条)。

    株主総会議事録は、株主総会の日から10年間本店に備え置かなければなりません(会社法第318条第2項)。支店にも原則として5年間、株主総会議事録の写しを備え付ける必要があります。ただし、電子的に作成された議事録のファイルを閲覧できるようにしておけば、書面による写しの備え付けは不要です(同条第3項)。

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4、株主総会対応は顧問弁護士に相談を

株主総会は、会社法の規定に従って開催する必要があります。手続きに漏れが生じた場合は、株主との間でトラブルになり、株主総会決議が取り消されてしまうケースもあるので要注意です。

会社法に沿って適切に株主総会を開催するためには、顧問弁護士と契約してアドバイスを求めるのが有益です。会社法や株主総会対応に通じた弁護士に相談すれば、不備なくスムーズに株主総会を開催できます。

顧問弁護士には株主総会に限らず、その他の企業法務に関する事項も幅広く相談可能です。まだ顧問弁護士と契約していない企業は、この機会に顧問契約の締結をご検討ください。

5、まとめ

定時株主総会は、事業年度終了日から3か月以内に開催するのが一般的です。ただし、それほど多くの準備を必要としない非公開会社では、早めに定時株主総会を開催することも考えられます。

株主総会の開催に当たっては、会社法の規定を順守しなければなりません。適切に株主総会を開催するためには、弁護士への相談をおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、株主総会対応を含む企業法務に関するご相談を随時受け付けております。ニーズに応じてご利用いただける顧問契約サービスもご提供しており、幅広い事柄についてご対応可能です。

株主総会対応や、その他の企業法務に関する問題にお悩みの企業は、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスにご相談ください。

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