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愛人とその子どもに相続権はある? 遺産を守るために必要な知識とは

2018年12月27日
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愛人とその子どもに相続権はある? 遺産を守るために必要な知識とは

本妻とは別に愛人つくり、愛人との間に子どもを授かるというケースはあります。
男性にまとまった財産がある場合は、男性の死期が近づくにつれて相続問題が浮上します。
そこで「愛人や内縁の妻、およびその子どもが相続権を主張してきたらどうすればいいのか?」という疑問について、札幌の弁護士が詳しく解説いたします。

1、愛人は法的に認められた「相続人」ではない?

札幌市では平成27年と28年に、相続税の課税対象となった被相続人数が連続して2400人を超えています。両年ともに、相続税額は合計で300億円を上回りました。
札幌市の高齢化率は年々上がっており、平成27年に24.9%を記録しました。相続問題は市内で今後どんどん増えていく可能性があります。

出典元:国税庁 札幌国税局「平成27年分の相続税の申告状況について」「平成28年分の相続税の申告状況について」
出典元:札幌市「高齢者支援計画2018」

  1. (1)法定相続人の範囲に、愛人は含まれる?

    愛人との間に誕生した子どもに対して、認知されていなければ、相続する権利は法律上認められていません。民法には、法定相続人に関してはっきりとした記載があります。その「法定相続人」の範囲は、以下の通りです。

    ●配偶者
    被相続人の正式な結婚相手です。正式な妻または夫は、自動的に相続人となります。

    ●第1順位の相続人
    直系卑属が該当します。子どもがいるなら子どもが第1相続人となります。子どもが先に死亡していても、子孫を残しているなら孫やひ孫は第1相続人になれます。

    ●第2順位の相続人
    直系卑属がいない場合は、直系尊属が第2相続人になります。父母または祖父母に相続権があるのです。

    ●第3順位の相続人
    生きている直系卑属も直系尊属もいないときは、兄弟姉妹が第3相続人と認められます。兄弟姉妹が死亡していても甥・姪が生き残っているなら、代わりに第3相続になれます。

    以上のように、法定相続人になれるのは「正式な婚姻手続きを済ませている者」か、「近しい血縁関係にある者」のみです。しかし愛人や内縁の妻は、そのどちらにも該当しません。したがって愛人や内縁の妻は相続権が認められないのです。

    ではここで、愛人と内縁の妻の決定的な違いについて説明しておきましょう。

  2. (2)「愛人」と「内縁の妻」の違いについて

    世間ではよく混同されていますが、「愛人」と「内縁の妻」には法律上の違いがあります。

    ①愛人
    相手が結婚していることを承知の上で、不貞関係を持ち始めたことを指します。婚姻関係の意思はありません。

    ②内縁の妻
    愛人と違いお互いに配偶者はいません。正式な婚姻手続きを踏んでいないものの、長年にわたって同棲しているなどの経験を持つ者です。実質的な夫婦関係を続けてきた実績がある点で、愛人と異なります。

    内縁関係を長年にわたって続けてきた者は、法的に保護されるチャンスがあります。たとえば、「特別縁故者」という制度があります。これは、相続人が全然見つからない死亡者の世話を長年続けてきた人に対して、故人の財産を相続する権利を認めるというものです。相続人の不在が確定してから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きする必要があります。

2、「愛人に遺産を贈る」といった遺言書が出てきた場合

  1. (1)遺言の内容は法定相続人よりも優先される?

    愛人や内縁の妻に相続権がないことは前述したばかりです。
    しかし被相続人が死亡する前に、遺言を残している場合は別です。

    法的に正しい手続きを踏んで作成された遺言に、愛人に相続させることを認める記載があれば、その遺言は法定相続人よりも優先されます。

    しかし、「愛人にすべてを遺す」という遺言が見つかったからといって、必ずしも愛人が全財産を実際に受け継げるとは限りません。次で詳しく説明いたします。

  2. (2)「遺言は無効である」と主張する

    愛人に有利な遺言が確認されたときは、まず、その遺言が書かれた書面を確認するとよいでしょう。法的な不備がないかよく調べてみることが大事です。

    そのほか、愛人と被相続人が不貞関係にある場合は、公序良俗に反していることを理由に遺言の無効を訴える手もあります。不倫はもともと、現在の法制度では違法行為の一種とみなされています。したがって愛人に財産を遺すという遺言も法的に認められない、という主張をするわけです。

    とはいえ、裁判所がどう判断するかはわかりません。ここで大きなポイントとなるのは、その不貞関係の深さでしょう。

    • 内縁の妻と認められるくらい、夫婦らしい生活が営まれていた場合
    • 夫婦生活の実体が、長期にわたって続いていた場合
    • 女性が男性の収入に継続的に依存しながら暮らしていた場合

    以上のような場合は、不倫を理由に遺言の効力がないと訴えることは難しいでしょう。

  3. (3)法定相続人に認められる「遺留分」について

    法定相続人がまったく遺産を相続できなくなると、さまざまな困難が生じることになりかねません。

    そこで民法では、法定相続人のために「遺留分減殺請求」という制度を設けています。
    遺留分減殺請求とは、特定の相続人に有利な遺言を準備していた場合に、法定相続人にある程度の遺産の確保を認めるという制度です。具体的な取り分については、請求を行う家族の立場や人数などにより変わります。

    ただしすべての法定相続人に、遺留分減殺請求ができるわけではありません。請求可能なのは、配偶者・第1相続人・第2相続人までです。兄弟姉妹や甥・姪のような第3相続人には請求ができません。

    遺留分減殺請求をするなら、早めに行動する必要があります。相続(遺贈・贈与含む)があったことを知った日から1年以内に行わないといけません。
    ちなみに相続があったことを全く知らなかった場合でも、相続の開始から10年が過ぎると請求は不可能となります。

  4. (4)被相続人が愛人に生命保険金を遺そうとしていた場合

    愛人に相続権がないことを知ったために、生命保険金を遺産の代わりにしようとする被相続人もいます。

    しかし生命保険は、相続税の対象となります。保険金は愛人しか受け取れませんが、愛人は相続人ではないため相続税を払う義務はありません。その結果、残された遺族が払う相続税が増えてしまうのです。

3、愛人の子どもが遺産の分け前を主張してきた場合

愛人のような、正式な婚姻手続きを済ませていない異性との間に誕生した子どもを「非嫡出子」と呼びます。

この非嫡出子にも、相続が認められるチャンスはおおいにあります。ただしそれが実現するには、その子どもが父親に認知されないといけません。

  1. (1)非嫡出子が認知を受けるには?どんな方法を選べる?

    ①被相続人が生前に戸籍を通して認知する場合
    実の父親が、非嫡出子が自分の子であることを認めて役所・役場に出向いて手続きする方法です。認知届は全国どこの役所・役場でも受理されますし、書面の作成は特に難しいものではありません。その子の母親の同意を取り付けなくても手続きできます。

    なお、その子どもの本籍地または住所地の役所・役場で手続する必要があります。

    ②強制認知を行う場合
    非嫡出子は裁判所を通して、認知を実現することもできます。父親がまだ生きているなら、まず調停を行います。それでも父親が認めようとしないなら、裁判を起こすことになります。

    裁判は、父親の死亡後に起こすことも可能です。ただし父親の死後3年以内にやらないといけません。

    いずれにしても、DNA鑑定などの手順を踏んで医学的な裏付けを求めることが一般的です。

    ③被相続人が遺言の中で認知する場合
    遺言の中で、非嫡出子を自分の子と認めることも可能です。

    この方法をとる場合、すでに死亡している実の父親の代わりに遺言執行者が認知届を提出します。もし遺言執行者が決まっていないなら、家庭裁判所に執行者の選任を申し立てることができます。

  2. (2)非嫡出子はどれくらいの分け前を取得できるのか

    少し前まで、非嫡出子が認知を受けることに成功しても、遺産の取り分を求める際に有利な立場とはいえませんでした。長い間、非嫡出子が相続できる量は嫡出子の半分と定められていたのです。

    しかし平成25年に大きな法改正が実施されました。その結果、平成25年の9月5日以降に開始した相続は、非嫡出子も嫡出子とまったく同じ条件で遺産を相続できることになったのです。

    したがって万一、父親が愛人に産ませた子どもを認知していると推測できる状況であれば、本妻の子どもとまったく同じ権利を有するものと考える必要があります。

4、愛人や子どもに遺産を奪われたくない場合、弁護士ができることは?

愛人およびその子どもに、大切な財産を奪われてしまう懸念が感じられるときは、素早く行動を起こすことが大切です。相続手続きにはさまざまな期限がありますし、早く行動を起こさないと貴重な機会を逃すことになりかねません。そして、相手の愛人やその子どもが早めに弁護士のところに足を運んで相談している可能性もあります。

相続関係の相談を豊富に受けている弁護士に頼むと、次のようなメリットが考えられるでしょう。

①見落としがちなミスや問題を発見できる
弁護士は、遺言などの法的な書類の取り扱いを行う機会が多くあります。
そのため、遺言の内容に問題がないかどうか有効性を判断するなど、書類や手続きでのミスを防ぐことが可能です。遺留分を侵害された遺言をそのまま鵜呑みにして、「遺留分減殺請求」を行わないなどいったことも、弁護士であれば忘れずに手続きを行います。

②納得のいく解決へと導くことができる
相続は、どんなに仲がいい家族や親族でもトラブルが起きてしまうというケースは少なくありません。
当事者同士で揉めてしまうとなかなか解決できず、そうしているうちに相続の期限も差し迫ってしまいます。
第三者である弁護士が介入することによって、相続人同士が揉めてしまう前に何が最善の選択なのかをご提案いたします。

愛人やその子どもとの相続にあたっても、どのような方法が望ましいのか判断可能です。遺言の無効を訴える場合でも、遺留分減殺請求を選ぶ場合でも、弁護士の助けは欠かせないものです。

5、まとめ

愛人には相続権がありません。それでも遺言があれば、財産を横取りされるリスクは強くなります。さらに、その女性が子どもを産んでいる場合は要注意です。非嫡出子でも嫡出子と同じ権利を持てますし、被相続人の死亡後に認知を受けることも不可能ではないのです。
もともと相続手続きは、被相続人の没後速やかにやらないといけません。
遺産相続で不安を感じるときは、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士までお気軽にご相談ください。

ご注意ください

「遺留分減殺請求」は民法改正(2019年7月1日施行)により「遺留分侵害額請求」へ名称変更、および、制度内容も変更となりました。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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