家族が大麻を所持していて逮捕された! 家族ができることについて弁護士が解説

2018年12月04日
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家族が大麻を所持していて逮捕された! 家族ができることについて弁護士が解説

2018年10月17日、カナダでマリファナ(大麻)の所持や栽培が一部合法化され、話題となっています。ニュースによると今後年内にはカナダ国内でマリファナの販売店が続々とオープンする見込みとのことです。

しかし、日本では大麻の所持や栽培は大麻取締法で規制されており、違反すると逮捕や処罰の対象となります。

本記事では、大麻について逮捕されるのはどのようなケースなのか、また大麻取締法違反で家族が逮捕されたときに家族でできることについて解説します。

1、大麻で逮捕されるケース

まず、大麻について逮捕されるケースはどのようなものがあるのかについて、見ていきましょう。

  1. (1)大麻の所持

    大麻の所持は法律で禁止されており、実際に大麻を使用していなくても所持しているだけで逮捕されます。ただし、「他人に無理やり吸わされた」などのように、大麻を所持せずに使用した場合は処罰の対象とはなりません。

  2. (2)大麻の譲渡・譲受

    また、大麻を誰かに渡したり受け取ったりするだけでも大麻取締法違反となり処罰の対象となります。たとえば、「友人や恋人からもらう」「密売人として誰かに売る」なども違法行為にあたります。購入した人物が逮捕された後、その後密売人が特定されて逮捕に至るケースが典型的な事例です。

  3. (3)大麻の輸出入

    海外から大麻をスーツケースなどに入れてハンドキャリーで日本国内へ持ち込む、海外へ普通の荷物として送るなどの手段で、大麻を輸出入することも禁止されています。空港で手荷物検査のときに見つかったり、大麻が入った荷物を自宅で受け取ったりして逮捕されるケースが多くあります。

  4. (4)大麻の栽培

    大麻を栽培することも違法行為であり、処罰の対象となります。被疑者の自宅で栽培していることが多いため、警察官が自宅を訪れて被疑者を逮捕し、併せて家宅捜査を行うのが一般的です。また、吸引するための乾燥大麻が保管されていることも多く、大麻所持で逮捕されたのちに大麻の栽培で再逮捕されるケースが多い傾向にあります。

2、逮捕のパターン

大麻取締法違反で逮捕されるときは、大きく分けて現行犯逮捕される場合と通常逮捕される場合があります。また、職務質問を受けて任意同行された後、しばらく経って逮捕されるケースもあります

  1. (1)現行犯逮捕

    警察官に職務質問を受け、所持品の検査をされて大麻が見つかると、その場で現行犯逮捕されます。また、空港などで大麻の入った旅行かばんを受け取ったところで現行犯逮捕されることも珍しくありません。

  2. (2)通常逮捕

    警察官が実際に大麻の所持や譲渡・譲受を目の当たりにしていなくても、メールやLINEなどの通信記録から大麻のやり取りが行われていることが分かれば、通常逮捕されます。また、大麻を栽培していた場合、まずそれが本当に大麻であるかどうかを鑑定しなければなりません。警察官が大麻草の葉を採取して乾燥させた後に鑑定し、大麻と分かれば通常逮捕されます。

  3. (3)職務質問・任意同行後の逮捕

    その場で大麻を所持していないが、不審な行動が見られたり、所持品から注射器が見つかったりした場合は、警察官から職務質問を受けて任意同行を求められることがあります。警察署で任意で尿検査を受けて簡易鑑定を行った後、いったんは帰宅できます。しかし、詳細な検査結果が出た1~2週間後に出頭を求められ、大麻所持の疑いが強まればそのまま逮捕手続きに入ることになります。

3、逮捕された後の流れ

大麻取締法違反で逮捕された場合は、他の犯罪と同じように警察・検察で取り調べを受け、その後起訴・不起訴の決定がなされます。起訴されれば、裁判となりほぼ確実に有罪判決を受けますが、大麻取締法違反の場合は、不起訴処分になる可能性があります

  1. (1)警察での取り調べ

    逮捕されると48時間以内に警察署で取り調べを受けます。また、この間に自宅への家宅捜査が実施されます。逮捕後72時間以内は家族でも面会ができないため、接見できるのは弁護士のみとなります

  2. (2)検察庁へ送致(送検)・勾留

    逮捕後48時間以内に被疑者の身柄が検察庁へ送致され、24時間以内に勾留の要否が決定されます。大麻取締法違反の場合は、再犯や大麻の仲間との接触を防ぐために勾留を請求されることが多いと言えます。また、証拠隠滅の防止を図るために家族との接見禁止処分を受けることも珍しくありません。接見禁止になると、逮捕後72時間を過ぎても友人知人はもちろん、家族でも面会できなくなります

  3. (3)起訴・不起訴の決定

    検察官による捜査や取り調べが終わった後、検察官が起訴・不起訴を決定します。大麻取締法違反の場合は基本的に起訴されることが多いですが、初犯の場合や大麻を所持していた認識があるかどうかは疑わしい場合は不起訴処分になることも少なくありません。

  4. (4)裁判

    起訴されると、法廷の場で大麻取締法違反の事実があったかどうか争われた後に判決を受けます。起訴されるとほぼ確実に有罪判決を受けますが、初犯であるケースや共犯者がいないケースでは執行猶予付きの判決が得られることも多くあります

4、刑罰は?刑務所にいくの?

大麻取締法違反で逮捕されると、どのような刑罰を受けるのでしょうか。また、大麻取締法違反をしてしまうと違反者は全員刑務所に送られてしまうのでしょうか。

  1. (1)大麻取締法違反で受ける刑罰

    大麻取締法違反で受ける刑罰については、大麻の所持や譲渡・譲受、栽培で刑の重さが異なります。また、個人使用目的であるか営利目的であるかによっても量刑が変わってくるのがポイントです。

    • 個人使用目的での大麻の栽培・輸出入:7年以下の懲役
    • 営利目的での大麻の栽培・輸出入:10年以下の懲役。情状により10年以下の懲役あるいは300万円以下の罰金
    • 個人使用目的での大麻の使用・所持・譲渡・譲受:5年以下の懲役
    • 営利目的での大麻の所持・譲渡・譲受:7年以下の懲役。情状により7年以下の懲役または200万円以下の罰金
  2. (2)再犯の可能性がなければ保釈される可能性も

    大麻取締法違反の場合、逮捕・勾留されても、初犯で反省の意を深く示しており、再犯の可能性がないと判断されれば、起訴・不起訴の決定前に釈放される可能性もあります。また、起訴後であっても逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを証明すれば保釈請求をすることで保釈されることもあります。

    ただし、保釈請求には保釈金の支払いが必要です。ちなみに、保釈金は裁判が終わると返還されます。

  3. (3)不起訴処分になることも

    また、大麻の所持量が0.5g以下とごく微量の場合は、起訴猶予で不起訴となる可能性があります。また、所持していたものが大麻であるという認識があったかどうかが疑わしい場合や、関係者の自白以外の物的証拠がない場合は、嫌疑不十分で不起訴となることもありえます。

  4. (4)初犯では執行猶予付き判決がほとんど

    大麻取締法違反の容疑で逮捕・起訴され、裁判になったとしても、初犯の場合は執行猶予付き判決を得られるケースが一般的です。大麻の使用も入手もできない刑務所の中で過ごすよりも、大麻が入手できる可能性のある社会の中で生活を送る方が、自分の意志で誘惑を断ち切り、更生への道を歩める可能性が高いと考えられているためです。

5、家族ができること

大麻の所持で夫(妻)や子どもが警察に捕まってしまった場合、家族は気が動転してどうすればよいかわからなくなることが多いでしょう。しかし、そのような状況の中でも家族にできることがあります。

  1. (1)弁護士に相談

    家族が大麻取締法違反の容疑者として逮捕されたら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談しましょう。このとき、できれば薬物事件を多く取り扱ったことのある弁護士に相談するのがベストです。弁護士が逮捕直後から弁護活動を開始することで、勾留を阻止できたり、勾留された後でも早期釈放を目指すことができます。
    また、裁判になったとしても、被疑者の反省の意を裁判官に示すことで、執行猶予付き判決を得ることも可能です。

  2. (2)捜査機関の事情聴取に応じる

    被疑者が警察や検察で取り調べを受けている間、警察官や検察官が被疑者の普段の様子について把握するために家族にも事情を聴くことがあります。家族への事情聴取は任意なので拒否することもできますが、家族が事情聴取を拒否することで早期釈放・保釈に影響が出る可能性もゼロではないため、事情聴取には応じたほうが良いでしょう

6、家族の薬物問題に対してできること

家族が薬物に手を出したために逮捕され、その後釈放されたり執行猶予付き判決を受けたりして自宅に戻ってきたとしても、薬物依存から抜け出すことは容易ではありません。薬物を断ち切るには、家族のサポートが必要不可欠です。ここでは、薬物問題に対して家族ができることを2つご紹介します。

  1. (1)医療機関などでの治療・更生プログラムに参加を促す

    まずは、各自治体の精神保健福祉センターに相談し、薬物依存症治療の専門病院に関する情報を入手しましょう。そして、そこで実施されている治療・更生プログラムへの参加を本人に促します。

  2. (2)家族の自助活動に参加する

    家族も薬物依存症に対する知識を得たり理解を深めたりするために、依存症の家族が行っている自助活動に参加するのも良いでしょう。お互いに話を聴き合うことで、依存症患者を家族に持つつらさや苦しみを共有することができます。また、本人自身が依存症の治療を拒んでいても、家族とともに自助活動に参加することで、治療の必要性を理解し、自ら治療に取り組もうとする姿が見られることも少なくありません。

7、まとめ

大麻をはじめとする薬物事件は、単に被疑者を逮捕・起訴して刑罰を与えれば解決する問題ではありません。そのため、早期に釈放してもらうことで、いち早く専門の医療機関で必要な治療やサポートを受けられることを目指すほうが本人のためにもなります

もし大麻取締法違反で家族が逮捕された、もしくは任意で事情を聴かれて逮捕されそうになっているときは、一日も早くベリーベスト法律事務所 札幌オフィスまでご相談ください。当事務所では逮捕直後から弁護士が接見に出向き、取り調べの受け答えの仕方についてアドバイスをするほか、意見書を作成したりするなどして早期釈放を目指します。また、裁判になっても法廷で被疑者を最後までサポートし、執行猶予付き判決を得られるように尽力いたしますのでご安心ください。

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています