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未成年でも逮捕される? 加害者が子どもの窃盗事件の流れを弁護士が解説

2018年10月30日
  • 財産事件
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未成年でも逮捕される? 加害者が子どもの窃盗事件の流れを弁護士が解説

北海道警察が発表している統計によると、刑法犯の疑いで検挙・補導された未成年が犯した罪で、圧倒的多数を占める犯罪が「窃盗」です。検挙補導された未成年者全体でも、「窃盗」によるケースは65.8%を超えますが、14歳未満の「触法少年」のみで集計すると、なんと76.5%が「窃盗」で補導されているのです。

なお、この窃盗には当然、「万引き」が含まれます。「万引き」は、未成年の窃盗犯でもっとも多い手口として計上されているのです。

もし、未成年が窃盗犯となったとき、逮捕されて懲役刑などの刑罰を受けることになるのでしょうか? ここでは、未成年による窃盗事件を中心に、「少年事件」の手続きの流れや処分の内容を、札幌オフィスの弁護士が解説します。

1、万引きは「窃盗罪」になる

「万引き」といえば、スーパーやコンビニなどの販売店でこっそり商品を盗みとる行為です。被害金額がわずかであるケースも多く、「たかが万引き」と軽視される風潮もあるようです。しかし、繰り返しになりますが、「万引き」はれっきとした犯罪行為なのです。

万引きは、刑法第235条に規定されている「窃盗罪」に該当します。窃盗罪の手口には、空き巣・ひったくり・置引、自転車盗などがありますが、万引きは、窃盗罪の手口のひとつにすぎません。当然のことながら、「万引き」も含め、すべて窃盗罪として処罰されることになります。

窃盗罪の罰則は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」と規定されています。何度も「万引き」をはたらき、警察のお世話になっているケースや、被害額が高額となったケースでは、厳しい刑罰が下される可能性があります。

2、未成年でも逮捕されることがある

窃盗罪などの罪を犯したとき、警察は、罪を犯した者に対して何らかのアクションを起こします。それは、成人でも未成年でも変わりがありません。起こすアクションは、未成年であれば「補導」か「検挙」です。

「検挙」とは、「罪を犯した疑いがある者を『被疑者』として捜査をはじめる」ことを指します。なお、「逮捕」は、身柄の拘束を指します。逃亡または証拠隠滅のおそれがある場合のみ適用できる特別な措置と考えてください。これは、逮捕自体に一定の条件がある軽微犯罪をのぞいて、すべての犯罪で共通していえることです。

ただし、14歳未満の子どもは、刑事責任を問われないため刑法犯となりうる犯罪行為をしたとしても、逮捕はできません。この場合は「補導」され、必要があれば児童相談所などへ送られることになります。

つまり、14歳以上の未成年が万引きをして、逃走または証拠隠滅のおそれがあると判断された場合は、逮捕される可能性があるといえるでしょう。

3、少年事件の手続きの流れ

警察・検察庁・裁判所では、未成年のことを男女の区別なく「少年」と呼ばれています。未成年が起こした犯罪事件は「少年事件」として、処理されていくことになります。成人が犯した罪を裁くことが目的となる刑事事件との最大の違いは、「刑罰を与えることが目的ではない」という点でしょう。

ここでは、14歳以上の少年が逮捕されたケースを想定し、少年事件の手続きの流れを解説します。

  1. (1)逮捕・勾留

    窃盗の疑いなどで警察に逮捕されると、たとえ少年でも、警察署内で身柄を拘束されて、取り調べを受けることになります。警察は、逮捕から48時間以内に被疑者となった「少年」が起こした事件を検察に引き渡すかどうかを判断します。検察に事件を送り、引き続き捜査を行うことを「送致」と呼びます。

    もし事件が送致されれば、それから24時間以内に、引き続き身柄を拘束して捜査を続ける「勾留(こうりゅう)」を行うべきかを判断されます。勾留請求が認められた場合は、原則10日間、最大で20日間の身柄拘束が続きます。ここまでの流れは、少年事件と成人事件に差はありません。

    ただし、勾留が認められた少年事件の被疑者は、拘置所や留置場ではなく、少年鑑別所に留置されることがあります。

  2. (2)家庭裁判所への送致と少年審判

    検察による捜査が終わると、その後は、少年事件特有の流れになります。

    まず、捜査の結果、「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」など、未成年の被疑者を犯人と特定できないと判断されたケースでは、事件の審議が終了し、身柄の拘束が解かれることもあります。しかし、原則的には、すべての事件が家庭裁判所へ送致されることになるでしょう。少年事件では、少年本人の更生を最大の目的としているため、まずは家庭裁判所の判断に委ねることになります。この流れは「全件送致主義」と呼ばれます。

    少年事件の送致を受けた家庭裁判所では、被疑者となった未成年者の将来を考慮し、犯罪少年が罪を反省し、今後、更生していくためにどうすれば最適かを考えます。そのために必要な調査を行うため、被疑者本人の状況などを顧みて、少年鑑別所に送致する「観護措置」の手続きをとるか、少年を自宅に帰して調査をする「在宅観護」を行うかを判断します。

  3. (3)少年鑑別所への移送

    観護措置が決定した少年は、「少年鑑別所」へ送られることになります。「少年鑑別所」とは、学校や子どもの合宿所といった教育機関のような場所です。心理テストを行う、集団で発表する場を設けるなどして、指導、助言を行いながら、少年本人に、自らが起こした事件の内容を考えさせ、自分で原因を探させ、深い反省ができるようきっかけを与えます。

    鑑別所の職員は、看守ではなく、教師といったほうが適切です。この少年を更生させるために何が必要となるのかを慎重に調べます。

  4. (4)審判開始の決定

    家庭裁判所は、観護措置や在宅観護を通じて、通常4週間から8週間の間に「少年審判(しょうねんしんぱん)」をするべきかどうかを検討します。

    「少年審判」では、実際に窃盗を犯したかどうかを問われるとともに、被疑者本人を保護すべきかどうかが検討されます。手続きの流れでは、裁判と似ていると思われるかもしれませんが、刑罰を決定する成人の刑事事件とは目的が全く異なることを覚えておきましょう。

    この時点で、実は犯人ではなかったことが明らかな場合や、非行や犯罪を繰り返す心配はないことが明白なときは、少年審判を開くことはありません。「審判不開始(しんぱんふかいし)」が決定されます。家庭裁判所が「更生の必要がある」と判断された場合は、少年審判が開始されることになります。

  5. (5)少年審判

    少年審判は、原則非公開で行われます。成人の刑事裁判のように公開されることはありません。

    少年審判は、裁判官、家庭裁判所調査官、少年本人、保護者、付添人が出席します。裁判官が少年の取り扱いを検討するために、少年本人に質問するなどして、出席者らの意見を聞くというイメージの場所です。

  6. (6)処分の決定

    家庭裁判所での審理の結果、事案に応じて処分が決定します。少年の処分については、次のようなものがあります。

    • 処分なし
      犯罪事実がないと判明した場合です。
    • 保護観察
      施設に収容する必要はないと判断され、社会内で普通に通学や通勤をしながら、定期的に、保護司や保護観察官の指導、監視を受けながら更生させます。
    • 少年院送致
      再犯の可能性が高く、専門の施設内でなければ、更生が難しい場合です。
    • 逆送致
      殺人など重大な罪が問われるケースで、前歴など非行歴も多く、成人と同じ刑事処分もやむを得ない場合です。検察官に送り返され、成人と同様に刑事裁判にかけられることになります。窃盗のみの容疑で「逆送致」されることはないでしょう。


4、少年事件で弁護士を選任するメリット

成人が起こした事件では、逮捕・勾留の予防や刑罰の減免を目的に、被害者との示談が有効にはたらきます。ところが、少年事件の場合は、刑罰を科することが目的ではなく、かつ全件送致主義がとられているため、事件化すれば示談結果問わず、ほぼ送致されます。

つまり、状況によっては長期間学校を休まなければならない状況に陥るということです。示談によって、すぐに自由になれるわけではないのならば、「少年事件では示談をする必要がない」と感じる方も多いようです。子どもが逮捕されても、「弁護士は必要ない」と考えている方も少なくありません。

しかし、弁護士を選任して示談交渉を進めることは「少年の更生」を有効にします。被害者への謝罪なくして、更生はできないと考えてもよいでしょう。示談とは、お金だけの問題ではありません。自ら反省し、頭を下げて謝罪し、弁償し、示談をしてもらうことは、未成年の少年自身が自分の行動の意味を認識させて、本当の意味で更生するためには欠かせない、とても重要なことなのです。

また、逮捕から勾留が決まるまでの最大72時間は、たとえ未成年であっても、親や友人との面会が禁じられます。たったひとりで、警察からの質問に答えていかなければなりません。この期間に面会できるのは弁護士だけなので、そのような心細い状態に手を差し伸べ、本人の状況を知ることができるのは弁護士だけです。直接アドバイスもできるため、違法な取り調べや不利益な処遇を回避することもできます。

さらに、逮捕・勾留されたことが学校や勤務先に影響を与えないように調整をするのも弁護士の仕事です。少年審判の席では、付添人として弁護を行い、できる限り軽度な処分で済まされるように尽力します。処分が社会生活に大きな影響を与えないようにすることが期待できます。

「少年事件においても弁護士を選任する必要がある」というよりは、むしろ未成年の少年が事件によって自暴自棄になり、さらに非行行為に走ってしまわないためにも、弁護士の選任は必須だといえるでしょう。

5、まとめ

今回は、窃盗罪で逮捕された場合を想定して、少年事件の特徴や手続きの流れなどを解説しました。少年事件では、周囲が行うべきサポートも、成人事件以上に慎重かつ繊細な心遣いが求められます。少年事件の弁護や示談交渉は、未成年の少年の特性を理解し、少年事件の解決実績が豊富な弁護士を選任するべきともいえます。

ベリーベスト法律事務所・札幌オフィスでは、窃盗を犯してしまった少年とそのご家族をサポートします。あなた自身の子どもが、窃盗事件によって逮捕されるかもしれない……などの不安があるときは、ひとりで悩まず、まずは専門家に相談してください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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