公然わいせつ罪への不安があるあなたへ。後日逮捕されるケースを弁護士が解説
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飲み会などに参加した帰り道、泥酔した状態で自宅と間違えて公園で服を脱いでしまった……という経験をした記憶はありませんか?
不特定多数の方に目撃される可能性がある場所で、下半身を露出した状態で寝る行為は公然わいせつ罪に該当します。このように公園で下半身を露出して寝た場合、後になって逮捕されることはあるのでしょうか。
記憶が曖昧で自首や逮捕についてお悩みの方に向けて、公然わいせつ罪にあたる行為や、公然わいせつ罪で後日逮捕されるケースについて札幌オフィスの弁護士が解説します。
1、公然わいせつ罪にあたる行為とは?
公然わいせつ罪とは、その名のとおり、不特定もしくは多数の方に目撃される可能性がある場所で、わいせつな行為をすることによって問われる罪です。わいせつな行為とは、たとえば陰部を露出したり、性交を見せつけたりする行為のことを指します。
日本では、公然の場でわいせつな行為自体が違法とされています。そのため、公然わいせつ罪を犯した場合でも被害者がいないケースがあります。
公然の場で露出などをした場合、複数の目撃証言があれば泥酔して記憶がなくても罪に問われることがあるでしょう。また、通報されていない場合でも、公然の場でわいせつな行為をしてしまうと公然わいせつ罪に問われてしまうこともあるので、注意が必要です。
2、現行犯逮捕と後日逮捕
公然わいせつ罪の逮捕には、現行犯逮捕と後日逮捕の2種類があります。公然わいせつ罪では、後日逮捕されるケースは多くはありません。そこで、公然わいせつ罪において、どのようなケースが現行犯逮捕や後日逮捕の対象になるのかを紹介します。
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(1)現行犯逮捕されるケース
現行犯逮捕とは、犯行のあった現場で逮捕されることを指します。公然わいせつ罪の場合、一般的には被害者や目撃者、その場を通りかかった方によって現行犯逮捕されるケースが多数を占めています。被害者や目撃者による通報で、現場へ駆けつけた警察官が逮捕することもあります。
具体的に公然わいせつ罪で現行犯逮捕される場合には、以下のようなケースが挙げられます。- 電車内で陰部を露出した
- コンビニの駐車場に駐車した車内で自慰行為をした
- 公園で全裸になって歩いていた
- リアルタイムで性交の様子をインターネット配信した
泥酔して全裸になり公園などで寝てしまった場合も、通行人や目撃者の通報によって公然わいせつ容疑で現行犯逮捕される可能性があります。
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(2)後日逮捕されるケース
後日逮捕はその名のとおり、犯行のあった当日ではなく、後日逮捕されることをいいます。現行犯逮捕では、逮捕状がなくても逮捕されますが、後日逮捕には逮捕状が必要です。
後日逮捕では翌日〜数ヶ月後に逮捕状を持った警察官によって逮捕されます。一般的には、犯行が発覚してから1ヶ月以内に逮捕されるケースが多いようです。ただし、場合によっては1年以上たってから逮捕される可能性もあるため、いつごろ逮捕されるのかなど、確かな日付はだれにもわかりません。
公然わいせつ罪で後日逮捕される場合、以下のようなケースが挙げられます。- 夜中に全裸で繰り返し歩き回り、町内で「不審者が出る」とうわさになり、警察が調査を始めた
- 店内で女性に陰部を見せつけたところ、後になって女性が被害届を出した
- 電車内で陰部を露出して現行犯逮捕されそうになったが逃げた
このように証拠を隠滅する恐れがある場合は特に、逮捕状が請求され、後日逮捕される可能性が高まります。泥酔して全裸になって公園などの公然の場で寝てしまった場合、複数の目撃証言があるのにもかかわらず「やっていない」と否認すると後日逮捕される可能性が高まるでしょう。
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(3)逮捕されないが罪に問われるケース
公然わいせつ罪にあたる犯行の中には、逮捕されないまま捜査されることがあります。犯行がさほど悪質ではない場合や、被疑者が証拠隠滅をしたり逃げたりしないと判断された場合が該当します。
本人が犯行を認めており、初犯で深く反省していると判断される場合は逮捕されない可能性が高いでしょう。このように現行犯逮捕や後日逮捕されずに行われる捜査を、「在宅捜査」と呼びます。
在宅捜査では、警察に呼び出されることがあります。呼び出しを受けた被疑者は警察署へ行く必要があるでしょう。呼び出しに応じるかどうかは自由ですが、呼び出しにまったく応じなければ逮捕される可能性もあります。
在宅捜査には、捜査を受けながらも日常生活を送れるというメリットがあります。泥酔していて公然の場で全裸になった状態を発見され、警察署に連れて行かれた場合でも、初犯で犯行を認めて深く反省していると判断されると、逮捕されないまま在宅捜査になるケースもあります。
3、公然わいせつ罪の量刑
モ公然わいせつ罪の量刑はどのようになっているのでしょうか。
公然わいせつ罪で有罪判決が出た場合、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または「拘留(こうりゅう)」もしくは「科料(かりょう)」が科せられます。
拘留とは、1日以上30日未満の範囲で下された判決に従って、その日数を刑務所や拘置所、留置場などで過ごす刑のことです。自由刑と呼ばれる刑罰で、被告人の身柄を拘束します。拘留は懲役刑よりも軽い量刑ですが、執行猶予はつきません。勾留判決が出れば、そのまま執行されます。
一方、科料とは1000円以上1万円未満の財産刑です。同じ財産刑でも、1万円以上の場合を罰金といいます。
初犯で悪質性が低い場合は不起訴になり、前科がつかない場合もあります。また、初犯で悪質性が認められた場合は略式裁判による罰金刑で終わることもあるでしょう。繰り返し罪を犯してしまうと懲役刑が科される可能性が高まります。
4、逮捕される前にできること
公然わいせつ罪にあたる行為をした自覚があり、逮捕される可能性がある場合は、弁護士にあらかじめ相談しておくという選択肢があります。弁護士に早期に相談することで、さまざまなメリットがあります。
・逮捕前のアドバイス
実際に逮捕される可能性があるのかどうかについて、専門家の目線で状況説明してもらうことができます。また、本人が「公然わいせつ罪にあたる行為をした」と思っていても、実際には違法性の低いケースもあります。事前に相談してアドバイスをもらっておくことによって、大きな安心感を得ることができるでしょう。
・逮捕後の依頼
もし、逮捕されたとしても事前に弁護士にサポートを依頼しておくことで、迅速に適切な対応をしてもらえます。
・不起訴を狙える
一般的に、公然わいせつ罪で不起訴を獲得するには被害者との示談を成立させておくことが大切です。被害者が被害届を出している場合は示談交渉を依頼でき、示談が成立すると不起訴になる可能性が高まります。
・執行猶予を狙える
公然わいせつ罪で懲役刑が科せられるようなケースでも、事前に弁護を依頼しておくことで執行猶予がつく場合があります。
逮捕されると最長で48時間、警察に身柄を拘束されます。その間、検察へ事件と被疑者の身柄を送る(送検)かどうかを検討されます。送検された後、24時間以内に「勾留(こうりゅう)」を請求します。勾留請求が許可されると10日間身柄が拘束されます。取り調べを受けている間は、仕事や学校に通うことができず、携帯電話も没収されるため外部と連絡を取ることができません。
検察は、上記の10日間に加え、さらに10日間の勾留の延長を請求できます。これが認められると、合計で最長20日間も身柄を拘束されることになります。そのため、後日逮捕の可能性がある場合は事前に弁護士に相談してサポートを受けることが得策といます。
5、まとめ
今回は、公然わいせつ罪の逮捕の種類や該当するケースについてご紹介しました。
公然わいせつは、後日逮捕される可能性もある犯罪です。ただし、被害者がいる場合は、被害者と示談を成立させることで不起訴を獲得できる可能性があります。また、個人の尊厳を踏みにじる性質がある「強制わいせつ罪」よりも刑罰が軽く、実刑になった場合でも執行猶予がつくことがあります。公然わいせつ罪を犯してしまった場合は、事前に適切なアドバイスを受け、対処しておくことが大切です。
公然わいせつで後日逮捕される心配がある方は、まずは弁護士へ相談してみることをおすすめします。札幌方面中央警察署から徒歩3分の位置にあるベリーベスト法律事務所の札幌オフィスの弁護士ならば、万が一の場合も素早い対応が可能です。お気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています