借金を滞納したら裁判を起こされるの? 対処法と債務整理を札幌の弁護士が解説

2019年02月21日
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借金を滞納したら裁判を起こされるの? 対処法と債務整理を札幌の弁護士が解説

お金の問題は私たちにとって大きなストレスとなり、ときとして道を誤る原因ともなります。しかし、借金は滞納し続けることなくきちんと対処すれば残債を減額することも、ゼロにすることも不可能ではありません。たとえば札幌地方裁判所では、平成29年の1年間でおよそ2500件を超える破産事件が扱われていました。

借金問題を抱え込んでしまうと、取り返しのつかない事態に陥ることがあります。そのような事態になる前に、弁護士などに相談して適切な対策をとることをおすすめします。借金を滞納した際の対処法について、札幌オフィスの弁護士がわかりやすく解説いたします。

1、借金を滞納してから裁判を起こされるまでの流れとは

借金を滞納すると、督促の手紙やメール、電話などが届くようになります。返済したいと考えていたとしても、返済するお金がないというケースは少なくありません。その際は、督促されてもどうすることもできず、電話に出てしまえばしかられるのではないかと思い、放置してしまいがちです。

ところが、借金の督促を放置すると、穏便に済ませることが難しくなります。逆に、最終的には訴訟を提起されてしまう可能性が高まってしまうのです。では、どうしたらいいのでしょうか。

まずは滞納してから1ヶ月以内は、電話やメールなどによる督促が行われます。それでも反応しない場合は、配達証明や内容証明などで督促が届くでしょう。それも無視をした場合、自宅に貸金業者のスタッフが訪れることもあります。さらに、返済もせず連絡も無視し続けた場合は、裁判所から支払い督促が届きます。長期間返済をせずに放置している場合は、「訴状」が届くこともあるでしょう。

裁判所からの支払い督促が届いたら、内容を確認して同封されている「督促異議申立書」という書類を裁判所に返送します。返送せずに2週間以上放置すると強制執行手続きをとられてしまう危険性があるため、できる限り早く対応する必要があるでしょう。また訴状が届いた場合は、訴状に記載されている内容を確認の上、答弁書を作成したり、裁判に出頭したりしなければなりません。

訴状が届くまで放置してしまい、訴状まで無視すると、給与や財産などを差し押さえられる可能性があります。まずは、訴状が届いた時点で速やかに弁護士に相談してください。訴状が届いた状態でも、債務問題に対応した経験が豊富な弁護士に相談すれば、適切な対策をアドバイスできるはずです。

2、借金に困っているなら放置せずに弁護士に相談して債務整理を!

借金を滞納し続けて返済が難しくなると、返済せずに放置してしまいがちですが、放置しても状況が改善する可能性はありません。むしろ、日に日に借金の残高と不安ばかりが増大してしまいます。いつ裁判を起こされるのか、いつ財産が差し押さえられるのかと、夜も眠れない日々が続くでしょう。

もし、あなたが今現在借金を放置しているのであれば、ひとりで抱え込まずに弁護士に相談して「債務整理」を行ってください。

債務整理とは、合法的に借金の残債を減らしたり、ゼロにしたりする手続きです。たとえば「自己破産」すれば借金を一切返済する必要はありませんし、「個人再生」であれば住宅を手元に残しながら返済可能な額だけ返済することになります。過去にグレーゾーン金利で借り入れをしていたことがあれば、「過払い金請求」をすれば、支払いすぎた金利を取り戻すこともできます。借金がそれほど多くない場合は任意整理で、借金残高を圧縮できる可能性もあるでしょう。

このように、債務整理には、返済が難しい借金を、無理なく返済する方法、返済を免れる方法がありますので、ひとりで抱え込んで放置せずに弁護士に相談することをおすすめします。

3、過払い金請求が適しているケースは?

過払い金請求とは、過去に支払いすぎた利息を請求する手続きです。平成22年6月18日に法律が改正されました。それより数年前に借り入れをして、返済していた場合は、グレーゾーン金利と呼ばれる金利がついていた可能性があります。具体的には、利息制限法1条1項に定める上限金利を超え、出資法に定める上限金利に満たない金利帯で返済していた場合は、貸金業者に請求すれば支払いすぎた金利が返還されます。現在も返済を続けている場合は、過払い金の返還で完済できる可能性もあるでしょう。

つまり、平成22年より前に借り入れを行っていた方は、過払い金請求が行える可能性があり、債務整理を行わずとも滞納してしまいそうな借金の返済ができる可能性がある、ということです。ただし、過払い請求は、自分で請求しなければ返還されません。該当の時期に借り入れをしていた場合は、請求を検討することをおすすめします。

<過払い金請求のメリット>
リスクなく支払いすぎた利息を取り戻すことができることが最大のメリットです。

信用情報機関に過払い請求したことが記載されることもないため、信用情報に傷がつくこともありません。また、すでに完済しているケースでも支払いすぎた利息を取り返すことができます。

<過払い金請求のデメリット>
自分で手続きを行うときは、書類を集めたり、計算し直したりする手間がかかる点がデメリットとなるでしょう。具体的には、まず正確な取引履歴を取り寄せてから、正しい金利に引き直す計算をします。それから、過払い金の請求書を該当する貸金業者に送付します。請求書を送付したら電話で交渉をして双方が合意できなければ「過払い金返還訴訟」に移行することになるでしょう。

ただし、過払い金請求のすべての手続きや対応、交渉を、弁護士に依頼することができます。弁護士に依頼するのであれば、借入先と当時の「自分の住所」さえわかればすべて任せることができるでしょう。弁護士に依頼することで「手間がかかる」というデメリットも打ち消されます。

4、任意整理に適しているケースは?

任意整理とは、「過払い金」が発生していて、なおかつ過払い金を請求しても残債が出る場合に有効な債務整理方法です。過去にさかのぼって利息を法定金利に計算し直すので、利息に充当されていたものが元本に充てられ、一気に残債が圧縮されます。さらに、将来の金利や遅延損害金をカットしたりするので、無理のない範囲で借金を返済可能です。

任意整理が適しているケースは、10年以上前から借り入れをしていて、過払い金が発生している可能性がある人です。

<任意整理のメリット>
過払い金が発生している場合は残債が大幅に減額できる可能性があることと、裁判などの手続きを経なくても貸金業者との電話などで交渉できる点が、任意整理のメリットです。さらに、任意整理を弁護士に依頼した場合、その時点で、金融機関からの返済督促が停止します。借金に追われる日々から一時的に解放されるのも大きなメリットといえます。

<任意整理のデメリット>
過払い金が発生していない場合は、大幅な残債減額が難しい点がひとつめのデメリットです。また、任意整理が実現すると、信用情報に事故情報として任意整理が行われた事実が記録されてしまいます。いわゆるブラックリスト入りという状態になり、以降およそ5年間、借り入れができなくなる可能性があります。

5、個人再生に適しているケースは?

個人再生とは、裁判所に借金を全額返済することが難しいことを申し立てて、財産を処分せずに返済可能な金額まで借金を減額する手続きです。自己破産ともなれば、住宅や自動車といった一定額以上の財産を手放さなければなりませんが、個人再生は財産を整理する必要はありません。

つまり、個人再生に適しているケースは、住宅などの財産を手放したくないものの、借金を整理したい人です。

<個人再生のメリット>
財産を処分することなく債務を整理できること、無理なく返済できる金額に借金を減額できること、ギャンブルなどが原因の借金でも認められる点です。

<個人再生のデメリット>
任意整理同様、信用情報機関に事故情報が登録されてしまう点が挙げられます。事故情報が登録されてしまうと、新たに借金やクレジットカードの新規契約ができなくなります。また、減額した借金を返済する程度の収入がなければ、個人再生を申し立てたとしても認められることはありません。よって、無収入の方は申し立てられないのもデメリットといえるでしょう。

6、自己破産が適しているケースは?

自己破産とは、借金の返済が不可能であることを裁判所に申し立てて借金の返済義務を免除してもらう手続きです。

自己破産が向いている人は、現在無収入の方や、不動産を所有していない方です。個人再生とは異なり、収入がなくても申し立てできます。ただし、ギャンブルなどによる借金の場合は認められない可能性があります。

<自己破産のメリット>
認められれば、借金を一切返済せずに済む点です。これまで返済に回していたお金を生活費に充てることができるので、借金のことで頭を悩ませる日々から解放されます。

<自己破産のデメリット>
もちろんデメリットも大きなものです。具体的には、自宅や車といった高額な財産を手放さなければならないこと、生命保険外交員などの職に就けなくなることなどが挙げられます。また、信用情報機関に事故情報が記録されるため、新規の借金やクレジットカード契約ができなくなります。

7、まとめ

多額の借金を抱え、毎月の返済に追われている状態は、心と体に悪影響を与えます。滞納を続けていると、裁判を起こされてしまう可能性もあるため、早めに対策しなければなりません。現在、返済が難しい状態であれば「債務整理」を検討することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所札幌オフィスには債務整理の経験が豊富な弁護士が在籍しています。まずはどの方法が適しているのかについて、アドバイスします。

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