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財産分与で裁判をする方法は? 手続きや、時間と費用について解説

2022年03月17日
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財産分与で裁判をする方法は? 手続きや、時間と費用について解説

裁判所が公表している司法統計によると、札幌家庭裁判所での令和2年度における財産分与請求調停の新受件数は、57件でした。また、財産分与請求審判の新受件数は、8件でした。

夫婦が離婚をする際には、財産分与によって、共有財産の清算を行います。財産分与は、まずは、夫婦の話し合いによって行います。そして、話し合いで解決することができなければ調停へ、調停でも解決できなければ裁判へと進行することになるのです。夫婦の間で財産分与に関する主張が対立している場合には、話し合いで解決する望みが薄いことから、「すぐにでも裁判を起こして、判決を出してもらいたい」と考える方もおられるでしょう。

本コラムでは、財産分与に関する裁判を行うためにはどのような手続きが必要となり、どれくらいの時間や費用がかかるのかについて、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士が解説します。

1、財産分与の裁判はすぐにできる?

財産分与を行う方法は、離婚前と離婚後とで異なります。
以下では、それぞれの場合における手続きについて、解説します。

  1. (1)離婚前の場合

    夫婦がまだ離婚をしていない場合には、離婚に関する話し合いのなかで、離婚条件の一つとして財産分与に関して取り決めをすることになります。つまり、まずは「離婚をするかどうか」を話し合いによって決めたのちに、財産分与に関する具体的な条件を決めていくことになるのです。これを「離婚協議」と呼びます。

    夫婦の片方が離婚を拒否していたり、財産分与の方法などについて夫婦間で意見が対立したりしている場合には、話し合いで解決することが困難なこともあります。
    このような場合には、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てることになります。離婚調停は離婚協議と同じく話し合いによる解決手段ですが、家庭裁判所が選任した「調停委員」が介入するため、協議とは異なり第三者の意見が加わることになるのです。

    主張が激しく対立している場合には、「調停もしょせんは話し合いなのだから、意味がない」と焦って、すぐにでも裁判を起こしたいと考える方もおられるでしょう。
    しかし、離婚については「調停前置主義」が採用されており、必ず調停手続きを経てからでなければ、裁判を起こすことができないのです。これは、離婚のような家庭内の問題については、裁判所が立ち入るよりも当事者間で話し合った方が納得のいく解決が得られやすい、という配慮によるものです。
    したがって、話し合いによる解決が困難な場合であっても、いきなり裁判を起こすことはできません。

  2. (2)離婚後の場合

    離婚後に財産分与を求める場合には、離婚前と同様にまずは、当事者同士の話し合い(協議)によって財産分与の方法について決めていくことになります。
    当事者同士の話し合いでは解決することが難しい場合には、家庭裁判所に「財産分与請求調停」を申し立てることになります。この場合では既に離婚をしていますので、調停の対象は「離婚」そのものではなく「財産分与」となります。

    離婚後の財産分与に関しては調停前置主義が採用されていないため、調停を経由せずに、いきなり審判や裁判を申し立てることも、制度上は可能です。
    ただし、実務上は、いきなり審判や裁判の申立てをしても、裁判所の職権によって調停手続きに付されるのが一般的です
    したがって、結局のところは、財産分与について夫婦間で意見が分かれていて話し合いによる解決が困難であったとしても、いきなり審判で判断してもらうことは難しいのです。

2、財産分与の裁判準備のために必要な手続き

財産分与に関して裁判を提起するためには、以下のような手続きが必要となります。

  1. (1)離婚調停の申立て

    上述した通り、離婚に関しては調停前置主義が採用されているため、離婚裁判を起こす前には家庭裁判所の離婚調停手続きを経ている必要があります。
    いきなり離婚裁判を起こしたとしても、裁判所の職権で調停に付される、「付調停」という措置が取られてしまいます。

    ただし、付調停が相当ではないという場合には、例外的に調停手続きを経ることなく離婚裁判が可能です。この例外にあたるケースとしては、相手方が行方不明、相手方が調停を拒んでおり出頭する見込みがないなどの事例が挙げられます。
    このような例外的なケースにあたらない場合には、原則どおり、離婚調停の申立てが必要となります。

  2. (2)附帯処分の申立て

    離婚裁判では、離婚を認めるかどうかの判断を裁判所がおこないます。
    「財産分与も離婚に関する条件の一つであるから、財産分与に関しても裁判所が決めてくれるものだ」と考える方もおられるかもしれません。しかし、実際には、離婚裁判を起こしただけでは、財産分与に関して判断してもらうことはできません。財産分与の判断をしてもらうためには、「財産分与に関する処分」という附帯処分を申し立てる必要があるのです。
    なお、附帯処分の申立ては、口頭弁論の終結時まで行うことができます。離婚裁判と同時に申立てをしていなかったとしても、後から追加で申立てをすることが可能です。

3、離婚裁判にかかる費用と期間

離婚裁判で財産分与を求める場合にかかる費用と期間は、以下の通りになります。

  1. (1)離婚裁判にかかる費用

    離婚裁判を起こす場合には、裁判所に納める郵便切手と収入印紙が必要となります。

    ① 郵便切手
    郵便切手の組み合わせと金額については、離婚裁判を起こす裁判所によって異なってきますので、事前に確認する必要があります。

    なお、札幌家庭裁判所では、令和4年の時点で、離婚裁判に必要となる郵便切手は合計で6880円であり、以下のような組み合わせになります。

    • 500円:8枚
    • 100円:12枚
    • 84円:10枚
    • 50円:4枚
    • 20円:20枚
    • 10円:20枚
    • 5円:4枚
    • 2円:10枚


    ② 収入印紙
    離婚裁判で離婚だけを求める場合の訴額は160万円とされており、1万3000円の収入印紙が必要となります。
    さらに、附帯処分として財産分与を求める場合には、追加で1200円の収入印紙が必要となります。

  2. (2)離婚裁判に要する期間

    離婚裁判に要する期間は、争われている内容によって異なってきますが、早ければ半年で解決します。一方で、長くなれば解決まで3年かかるという可能性もあります。
    財産分与について争いがある事案では、財産分与の対象財産の選別、財産分与の対象財産の評価、財産分与の方法の検討など、さまざまな事項を決めなければなりません。そのため、解決するまでに要する期間が長期化する傾向にあります

    以下では、離婚裁判を進行する流れについて記します。

    ① 家庭裁判所に訴訟提起
    離婚裁判は、家庭裁判所に訴状を提出することによってスタートします。
    訴状は、夫または妻の住所地を管轄する裁判所に提出します。

    ② 第1回口頭弁論期日の指定
    訴状が受理されると、裁判所によって第1回口頭弁論期日の日時が決められます。
    日時が決められると、被告に対して、訴状の副本と呼出状が送達されます。
    被告は、訴状に対して反論がある場合には答弁書という書面を作成して、裁判所に提出します。

    ③ 第1回口頭弁論期日
    裁判の当事者(夫婦)は、決められた日時に裁判所に出頭して、第1回口頭弁論期日を行います。
    第1回口頭弁論期日では、当事者が提出した訴状と答弁書を陳述して、証拠の確認が行われます。
    そして、2回目以降の期日が決められて、第1回口頭弁論期日が終了となるのです。

    ④ 2回目以降の期日
    離婚裁判は、約1カ月に1回のペースで行われることになります。
    離婚裁判は書面審理が中心となるため、主張や反論がある場合には、口頭で述べるのではなく、「準備書面」という書面を作成して行わなければなりません。

    なお、財産分与については、以下のような内容に基づいて審理が進められます。

    • 財産分与の対象財産の確定
    • 財産分与の対象財産の評価の決定
    • 財産分与の割合の決定
    • 財産分与の方法の決定


    ⑤ 和解期日
    当事者からの主張や立証が何度か繰り返されて、争点がある程度まで整理された時点で、裁判官から「和解」を勧められることがあります。
    夫婦の双方が和解を受け入れた場合には、その時点で、裁判は終了となります。

    ⑥ 離婚裁判の判決
    和解を受け入れない場合は、その後も審理が継続して、最終的に裁判官が判決を言い渡します。
    判決内容に不服がある場合には、高等裁判所に対して控訴をすることも可能です。

4、弁護士に依頼したほうがよいケース

以下のようなケースでは、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)財産分与の対象財産の調査が必要なケース

    清算的財産分与の対象となる財産は、夫婦が婚姻期間中に築いた共有財産です。
    具体的には、預貯金、有価証券、保険なども財産分与の対象になります。

    また、配偶者の片方が、相手の把握していない財産を所持している場合もあります。
    そして、そのような財産がある場合には、財産分与の対象になる財産を減らして自分の手元に残る財産をふやすために、財産の開示に応じない財産隠しを行う、という場合もあるのです。

    財産分与で満足いく金額を獲得するためには、相手の財産を正確に調査する必要があります。
    弁護士に依頼をすることによって、弁護士会照会や調査嘱託という方法を利用して、相手の財産を正確に調査することが可能です

  2. (2)財産分与の対象財産の評価が複雑なケース

    財産分与の対象となる財産を確定した場合には、その財産を適正に評価するという作業が必要になります。
    現金や預貯金などは、基準時の残高が評価額となりますので、評価は簡単です。
    しかし、財産分与の対象に不動産が含まれる場合には、その価値を評価する作業は複雑なものになり得るのです。

    不動産の評価方法には、固定資産評価額による評価、路線価による評価、時価による評価などさまざまな評価方法があり、どの評価方法を採用するかによって金額が大きく異なってきます。
    不動産の価値を正確に把握するためには、適正な評価方法によって財産を評価する必要があるため、弁護士などの専門家によるサポートが不可欠となるのです

  3. (3)財産分与以外にも争いがあるケース

    離婚時には、財産分与以外にも、親権、養育費、慰謝料、面会交流などさまざまな条件が関わってくる場合があります。
    審判や裁判などで、これらの離婚条件を定めるためには、それぞれに関して考慮しなければならない要素をふまえたうえで、第三者にとっても説得力のある主張や立証を行う必要があります。
    裁判所における主張や立証は、専門家である弁護士に任せた方が安心です。そのため、財産分与以外にも争いがあるというケースでは、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。

5、まとめ

財産分与で争いがあるという場合には、すぐにでも裁判をしたいと考える方も多いかもしれません。
しかし、裁判の前には、離婚調停を申し立てる必要があります。

離婚調停では、調停委員を介した話し合いが行われるため、当事者同士の話し合いでは解決することができなかった問題に関してもスムーズに解決に至ることもあります。
弁護士は、離婚訴訟だけでなく離婚調停のサポートも可能です。
北海道にお住まいで、財産分与に関してお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスまで、お気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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