悪質なクレーム対策に弁護士を介入させるメリットと法的な対応の必要性

2019年09月03日
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悪質なクレーム対策に弁護士を介入させるメリットと法的な対応の必要性

事業経営をするにあたり、クレーム対応に頭を悩ませる経営者は少なくないようです。札幌市内であっても例外ではありません。「クレームは宝の山」と誠実に対応していても、理不尽な主張を繰り返すクレーマーに時間や人材を費やし、損害を被ってしまうことがあるでしょう。クレーム対応にたけた専門部署や専門家がいればよいですが、個人や小規模で事業を営まれている場合にはそう簡単なことではありません。

この記事では、個人や小規模事業の経営者に向けて、悪質クレーマーへ法的に対応する必要性と、クレーム対応に弁護士を介入させるメリットを解説します。

1、クレーム対応の基本を確認

クレームを受けたら、まずは丁寧に対応し、相手の主張内容を整理しましょう。話を把握しないことにはクレーム対応を始めることすらできません。

まずは、次の流れで対応することになります。

  • ①事実関係を明らかにする
  • ②事実であれば原因を究明する
  • ③会社に責任があれば社会的に妥当な対応案を提示する


対応過程で、正当なクレームか不当なクレームかを判断することが大切です。どのクレームに対しても一律に対応すれば、不誠実な会社として評判が下がってしまうだけでなく、改善チャンスを逃してしまいかねません。場合によっては損害賠償を請求されるおそれもあるでしょう。

2、正当なクレームと不当なクレームの見分け方

では、正当なクレームと不当なクレームとはどのような違いがあるのでしょうか。

  1. (1)正当なクレームとは

    正当なクレームとは、「指摘内容がまさに事実」で、「指摘内容からして相応の要求」を述べており、「クレームの方法が常識的である」ものを言います。

    クレーム主が感情的になり、その場で大きな声を出してしまうこともあるでしょう。それでも会社が丁寧に説明することで理解を示してくれれば、不当なクレームとまではいえません。根拠があって苦情を述べているのであり、相応の対応によって納得したいという気持ちがあると考えられるためです。

  2. (2)不当なクレームとは

    不当なクレームとは、「指摘された事実がない」「要求が過大・過剰」「クレームの方法が非常識」といった要素があるものを言います。一部だけ事実で残りはでっちあげのケースや、指摘内容は事実であっても要求やクレーム方法が不当であるケースなど、いずれかの要素が組み合わされたクレームもあります。

    不相当の金銭や特別な待遇を求めてくるのも悪質クレーマーの典型例です。暴れる、脅す、執拗に繰り返すなども、常識的なクレーム方法とは言えないでしょう。

  3. (3)どのようなクレームは対応する必要がないのか

    指摘事実が一切ないケースでは対応の必要性はありません。毅然とした態度を示すことで引き下がるクレーマーもいます。事実無根である旨をしっかり伝えましょう。理由もなく恫喝されたり業務を妨害されたりするのであれば、警察へ届け出ることも検討しましょう。

    部分的に事実があるようなケースでは、事実の部分は認めて相応の対応案を提示しますが、過大な請求に応じる必要はありません。線引きをしっかり行い、正当な主張をすることが大切です。判断が難しいようなら、その場では対応せずに社内で協議するなどして慎重に対応しましょう。

3、悪質クレーマーへ法的に対応する必要性

悪質クレーマーの目的のひとつは金銭や特別な待遇の要求です。そのため、「お金で解決するなら」とその場しのぎ的に金銭を払ってしまいたくなることがあります。しかし、理由もなくクレーマーに利益を提供するという安易かつ不公平な対応は、ほかの顧客からの評判を著しく下げることになりかねません。

正論が通じない相手をなだめることには限界があるでしょう。会社の担当者を困らせることが目的のクレーマーもいますので、その場合にはいくら説明しても理解を示さないはずです。

中には、従業員に「金も渡さず弁護士も通さずどうにかして解決しろ」と丸投げしてしまうケースもあるようです。しかし、クレーム対応で現場が疲弊し退職者がでてしまえば会社の大きな損失につながるでしょう。クレーム対応は会社規模で行うべきであり、個人の裁量に任せるものではありません。

そこで必要となるのが法的な対応です。

まずは法的に対応する姿勢を示すことで、ほとんどのクレーマーが姿を消します。法的に根拠がないクレームであることを分かっているか、逆に訴えられるリスクが生じるからです。

「訴えるぞ」と口にするクレーマーも見られますが、仮に裁判となった場合には費用がかかりますし、公の場で不当なクレームの事実がさらされることとなります。悪質クレーマーは実際には裁判への発展を嫌がることも知っておきましょう。

4、クレーム対応をなぜ弁護士に依頼するべきか

法的な対応が正しいと分かってはいても、どこまでが不当な主張で具体的にどう対処すればよいのか判断できないというケースは少なくありません。そのようなときほど、クレーム対応を弁護士に依頼するべきです。弁護士に対応を任せることで次のようなメリットがあります。

  1. (1)法的に正しい主張ができる

    社内の人がクレームの窓口になると、会社への損害や評判を気にして毅然とした態度をとることが難しくなります。「ネットで拡散するぞ」「裁判を起こすつもりがある」などと言われてしまえば怖くなってそのとおりにしてしまうこともあるでしょう。

    弁護士であれば、脅しに屈することなく論理的に話し合いを進めることができます。その結果、相手の言い分が法的に正当な主張なのか判断することができるでしょう。正当性がないことを理解しているにもかかわらずクレームをつける者は、弁護士が介入した時点で大抵は引いていきます。

    弁護士が対応していれば、万が一訴訟となったとしても引き続きの対応が可能です。クレームの初期段階から弁護士が関与することで、証拠が適切に保全されることになり、訴訟を優位に進めることができるでしょう。

  2. (2)従業員が対応しなくて済む

    弁護士に対応を依頼することで、従業員がクレーム対応に追われる必要がなく、通常業務に専念することができます。悪質クレーマーへの対応で遅くまで残業する必要もありませんし、職場の士気を下げずに済みます。

    結果的に売上低下や人材流出を防ぐことにつながるため、会社経営上の大きなメリットとなると考えられます。

  3. (3)誹謗中傷対策やそのほかのメリットも

    悪質クレーマーからインターネットへ根拠のない誹謗中傷を投稿された場合には、サイトや掲示板管理者への削除要請、ガイドラインに沿った対応をすることができます。裁判上の手続きに基づき削除を求めることや、投稿によって生じた損害賠償を請求することも可能です。

    そのほか、商品やサービスの利用規約を法的観点から見直してクレームが起こりにくい環境を整えることや、従業員に対して防御策のアドバイスをすることもできます。

5、まとめ

今回は悪質クレーマーをテーマに、法的対応の必要性、弁護士を利用するメリットをお伝えしました。

クレームは会社にとって有益なものとそうでないものがあり、その判断は容易ではありません。感情的な相手に冷静な対応をすることは難しく、法的知識が求められる場面も多いため、弁護士のサポートを受けることが好ましいと言えるでしょう。

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています