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はじめて従業員を雇用するときに必要な手続きとは? 弁護士が解説!

2019年12月17日
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はじめて従業員を雇用するときに必要な手続きとは? 弁護士が解説!

北海道労働局によると令和元年8月の道内の有効求人倍率は、前年同月と比べ0.04ポイント増の1.22倍で、道内の労働者側の雇用情勢は改善傾向にあるとされています。
一方「今まで個人事業主としてひとりで頑張ってきたけれど、そろそろ従業員を雇いたい」と考えている雇い主側にとっては、いかに希望に沿う人材を確保すべきかといった問題に直面する状況ともいえます。良い人材に出会ったときに、すぐ雇用できるようにするためにも、従業員の雇用に際して必要になる手続きを知っておくことは有益です。
本コラムでは、個人事業主の方がはじめて従業員を雇用するときに必要な手続きと注意点を、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士が解説していきます。

1、はじめて従業員を雇用するときにはどのような手続きが必要?

はじめて従業員を雇用するときには、保険や税金などに関する手続きが必要になることを押さえておかなければなりません。

  1. (1)社会保険に関する手続き

    社会保険は、健康保険や厚生年金保険などの総称をいいます。
    健康保険は、労働者やそのご家族の病気や怪我などに対して必要な医療給付や手当金の支給を行う社会保険制度です。
    厚生年金保険は、労働者が高齢になり働けなくなった場合や、労働者の遺族が生活に困窮する状況になったときなどに保険給付を行う制度です。
    健康保険や厚生年金保険は、「国・地方公共団体または法人の事業所」あるいは「一定の業種であり常時5人以上を雇用する個人事業所」では強制的に適用されます。

    一定の業種とは、製造業・土木建築業・鉱業・電気ガス事業・運送業・清掃業・物品販売業・金融保険業・保管賃貸業・媒介周旋業・集金案内広告工業・教育研究調査業・医療保健業・通信報道業などが該当します。

    これらの業種に該当し、常時5人以上を雇用する個人事業所であれば、従業員の健康保険などの加入手続きが義務付けられます。

    また、加入手続きは、正社員だけが対象になるわけではありません。
    パートやアルバイトであっても「1日・1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上働く場合」には、健康保険などの加入対象になるので注意が必要です。なお、これらの保険料は、事業主と労働者が半分ずつ負担することになります。

    具体的な手続きとしては、従業員が社会保険の加入対象である場合には、採用日から5日以内に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を年金事務所、または健康保険組合に提出します。
    その他、被扶養者がいる場合には「健康保険被扶養者(異動)届」、配偶者が被扶養者である場合には「国民年金第3号被保険者関係届」も一緒に提出する必要があります。

  2. (2)労働保険に関する手続き

    労働保険とは、労災保険と雇用保険のことをいいます。

    ●労災保険
    労災保険は、業務が原因となって労働者に怪我や病気や死亡といった事態が生じた場合や、通勤途中に事故に遭った場合などに、国が事業者に代わり給付を行う制度です。
    原則として労災保険は、パートやアルバイトを含む全従業員が適用対象となります。そのため、労働者をひとりでも雇用する場合には、労災保険に関する手続きを行う必要があります。
    労災保険の保険料は、全額事業主の負担となります。

    労災保険の加入申請の窓口は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署です。

    ●雇用保険
    雇用保険は、労働者が失業した場合に失業給付などを行うための保険制度です。
    雇用保険は、「1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上雇用の見込みがある」労働者が加入対象となります。雇用保険の保険料は、労働者と事業主の双方で負担することになります。

    雇用した従業員が雇用保険の対象になる場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」を翌月10日までにハローワークに提出します。従業員が転職してきた場合には、以前の職場で発行してもらっている「雇用保険被保険者証」を提出してもらった上で、被保険者番号を確認して資格取得届に記入します。

  3. (3)税金に関する手続き

    労働者を雇用して給与を支払う場合には、事業者は支払いのたびに一定額の所得税を徴収(源泉徴収)する必要があります。源泉徴収した所得税は、原則として翌月10日までに税務署に納めなければならないとされています。

    また、住民税に関しては、個人の給与所得に課税されるので事業主が給与から徴収(特別徴収)しなければなりません。
    源泉徴収や特別徴収を行う場合には、手続きが必要です。
    源泉徴収する場合には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を最初の給与計算をする前までに提出してもらい、申告書で扶養人数や所得税額を把握します。転職してきた従業員であれば、以前の職場の「源泉徴収票」も年末調整時に必要になるので提出してもらう必要があります。

    転職してきた従業員が以前の職場で住民税の特別徴収をされていれば、引き続き特別徴収するために以前の職場から「給与所得者異動届出書」を送付してもらい手続きを行います。
    雇用にともない住民税を普通徴収から特別徴収に切り替える場合には、「特別徴収切替届出(依頼)書」を従業員が住民税を納めている自治体に送付します。

2、労働条件の明示や労務管理書類の作成も必要!

従業員を雇用する場合には、保険や税金の手続きの他に、従業員に労働条件を明示することや、労務管理書類の作成なども必要になります。

  1. (1)労働条件の明示

    従業員を雇用する場合には、雇用者は従業員に対して労働時間や給与額などの労働条件を明確に記載した書面を作成し、交付する必要があります。(労働基準法第15条第1項・労働基準法施行規則第5条)

  2. (2)雇用契約書の締結

    明示した労働条件に従業員の合意が得られたら、雇用契約書(労働契約書)を締結します。雇用契約は書面で行うことが義務付けられているわけではありませんが、後のトラブルを防止するためにも書面にしておくことが望ましいといえます。

  3. (3)労務管理書類の作成

    従業員の雇用後には、法定三帳簿といわれる「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」をすみやかに作成しなければなりません。また、常時10人以上の従業員を使用する事業所には、就業規則の作成も義務付けられています。

3、入社時に従業員から提出してもらう必要がある書類とは?

これまでご説明したように、従業員を雇用すれば保険や税金などの手続きが必要になります。また雇用契約書なども締結する必要があります。
そのため入社時には、主に次のような書類をケースに応じて従業員から提出してもらう必要があります。

  • 雇用契約書(事業主側で用意し、署名押印してもらう)
  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード
  • 源泉徴収票
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与の口座振り込み依頼書 など

具体的には、事前に年金事務所などの手続きの窓口へ行き、必要書類を確認した上で従業員に提出を求めると良いでしょう。

4、従業員の雇用手続きにおける注意点とは?

従業員の雇用手続きにおいては、従業員から提出を受けた書類の取り扱いに注意する必要があります。特に、12桁の個人番号であるマイナンバーは、社会保障や税金などの手続きにおいても使用される重要な情報です。
従業員がマイナンバーカードを発行しておらず、通知カードでナンバーを収集した場合は、免許証やパスポートなどと合わせて本人確認を行うなど、なりすましを防ぐ工夫も必要でしょう。
また、従業員のマイナンバーを「故意」に正当な理由なく漏えいした場合には、事業主は罰則を受けます。収集したマイナンバーの管理については、十分に注意する必要があります。

5、従業員の雇用手続きはどこに相談すれば良い?

従業員の雇用手続きにおいては、多くの書類を記入・提出する必要があるなど手間のかかるケースも少なくありません。従業員を雇いたいという状況で、雇用手続きまでご自身で進めることは負担になることでしょう。そのため、これらの手続きは専門家に委託して、事業に専念されることも、ひとつの大切な選択肢です。

従業員の雇用手続きの相談先としては、まず「社会保険労務士(社労士)」を思い浮かべる方も多いと思います。社労士は、社会保険の手続きや、従業員の入退社にともない必要となる公的な書類を作成すること、申請を代行することができます。また、助成金や補助金の活用についてアドバイスを行うことも可能です。

その他の部分では、弁護士へ相談するのが良いでしょう。弁護士であれば、就業規則の作成や労務管理の方法に関する具体的なアドバイスをすることができます。また、人を雇うことで、さまざまなトラブルも起こり得ます。その際、顧問弁護士をたてておけば、賃金体系などの労務相談、従業員や消費者とのトラブルなども日常的に相談できるので、安心して業務にまい進できるでしょう。

6、まとめ

本コラムでは、個人事業主の方がはじめて従業員を雇用するときに必要な手続きについて注意点も含めて解説していきました。
ベリーベスト法律事務所は、弁護士だけでなく社労士などの他の士業も在籍している総合法律事務所です。また、ご利用しやすい顧問弁護士サービスも展開しています。
ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士は、社労士とも連携して個人事業主の方の従業員雇用手続きを含めた事業全体を全力でサポートいたします。
はじめて従業員の雇用を考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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