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業務命令違反を理由に解雇したい! 処分を下す前に確認すべきこと

2021年07月12日
  • 労働問題
  • 業務命令違反
  • 解雇
業務命令違反を理由に解雇したい! 処分を下す前に確認すべきこと

会社の指示に従わずに勝手に仕事を進めた従業員を解雇したいとお考えになる経営者の方は少なくないでしょう。しかし、北海道ハローワークのホームページでも記載があるとおり、解雇された労働者の多くが、解雇予告通知書等の書面をハローワークなどに提示することになります。その内容によっては、解雇そのものが許されないという事態も起こりえるのです。

本コラムでは、業務命令違反を理由に従業員を解雇したいとお考えの事業者に向けて、札幌オフィスの弁護士が、従業員を解雇できる条件や会社が持つ業務命令権について解説します。

1、会社が解雇できるのはどんなとき?

経営者なのだから、会社にとってデメリットが多い従業員を解雇したいとお考えになる方は少なくないようです。しかし、解雇は容易に行えるものではありません。

  1. (1)労働者の権利は法律で保障されている

    会社(雇用主)と労働者(従業員)は、両当事者がお互いに合意して雇用契約関係に入っているという意味では対等ですが、当然、現実には力関係の不平等があります。労働者にとって、雇用関係により会社から得る給与は日々生活していく上で必要なものですから、会社がいつでも簡単に労働者を辞めさせることができるとすれば、次の仕事を見つけることができるまで苦しい生活を強いられることになります。それを避けたい労働者は、会社のどんな命令にも従わざるを得なくなってしまいます。

    そのため、法律では労働者の保護の観点から、解雇に関して非常に厳しい規定が置かれていますたとえ会社側が解雇したいと思っている従業員がいたとしても、辞めさせることは簡単ではありません。厳格な要件を満たさなければ、解雇しても、その解雇は違法・無効とされてしまいます。

  2. (2)解雇権濫用法理

    会社側から従業員を解雇する場合、法廷では解雇権濫用法理という解釈基準が用いられ、判例の蓄積により、確立されてきました。解雇権濫用法理は、平成16年の労働基準法の改正時に、同法18条の2に明文化され、その後、平成20年に労働契約法が施行された際、同法16条にそのまま移されました。条文の文言は以下のようになっています。

    労働契約法16条(解雇)
    解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。


    この文言からわかるように、解雇が有効と認められるためには以下2つの要件を満たす必要があります。厳格な要件を満たさなければ、解雇しても、その解雇は違法・無効とされてしまいます。

    1. 客観的に合理的な理由があること
    2. 社会通念上相当であること


    では、業務命令に違反したことを理由とする解雇は上記の2要件を充足するのでしょうか。その答えは、業務命令の内容によって決まることになります。

2、会社が持つ業務命令権に含まれるものとは?

会社には、当然のことながら、従業員に対して業務を行うよう、命令をする権利があります。これを業務命令権といいます。

しかしながら、これを濫用して、辞めさせるように仕向けることは当然許されません。ここでは、業務命令権の濫用にあたるかどうかが争われた判例をいくつか紹介します。

  1. (1)ミスをした従業員に本来の業務と無関係の雑務を行わせたケース

    通常の業務においてミスをした社員に対して、「日勤業務」と呼ばれる教育・研修を行わせたことが業務命令権の濫用にあたるのではないかと争われた事案です。

    本事件では、主に以下の事項について業務命令権の濫用にあたるかどうかが争われました。

    • 「日勤業務」は清掃や草むしりといった内容で、本来業務の再発防止のための研修とはかけ離れた内容のものが多かった
    • 達成目標(どうすれば「日勤業務」を終えて通常の業務に復帰することができるか)が定められておらず、70日以上にもわたって日勤業務をさせていた
    • 該当社員が受け取ることのできる手当(月額10万円程度)がこの期間中支給されなかった。


    判決では、日勤業務それ自体が違法なものだとは認めなかったものの、草むしり等の業務を行わせることや乗務手当を支給しないことに合理性はないとして、業務命令権の濫用にあたると判示しています(大阪高判平成21年5月28日)。

  2. (2)毛髪の色を理由に解雇しようとしたケース

    運送業者でトラック運転手として働いていた従業員が、髪の毛を金色に近い茶色に染めたところ、黒色に染め直すように会社に命じられ、従業員がそれを拒否したものの、自ら少し茶色が残る程度の色に染め直したにもかかわらず、黒色でないという理由で解雇を通告したという事件です。

    判決では、会社側が労働者の髪の色、容姿、服装に関する必要な命令を行うことは認められるという判断を下しました。しかし、これらの命令は企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内にとどまるべきであり、制限の必要性、合理性、手段方法としての相当性を欠くことがないよう特段の配慮が要請されるとし、本件解雇は解雇権濫用にあたると結論づけています(福岡地裁小倉支判平成9年12月25日)。

  3. (3)業務中の服装を理由に解雇を言い渡したケース

    医師から性同一性障害の診断を受けている従業員が、自認する性別に適した服装で業務にあたっていたところ、会社側がそれをやめるように命令したものの従業員が従わなかったため、自宅待機を命じた後、解雇を言い渡した事件です。

    裁判所は、従業員が自認する性別に適した服装で業務にあたることは業務遂行に著しい支障が出たとはいえないとして、従業員の解雇は違法であると判断しました(東京地決平成14年6月20日)。

3、退職を迫ったとき起こる可能性があるトラブル

  1. (1)退職勧奨は違法行為になる?

    前述の事例のとおり、業務命令に違反したことを理由に解雇を言い渡すのは、企業にとっては従業員から訴えられるリスクがあります。弱い立場にある労働者を保護しようというのが法律(裁判所)の立場であることは、これまで述べてきたとおりです。たとえ従業員が業務命令に従わない場合でも、解雇に客観的な合理性と社会的な妥当性がなければ、その解雇は違法・無効なものとなるのです。

    そこで、解雇という形は避けたいが、辞めてもらいたいので、「退職勧奨」という形で従業員に自分から退職してもらおうと考える会社もあるでしょう。退職勧奨とは、一方的に解雇を言い渡すのではなく、「退職してもらえませんか?」と会社が従業員に対してお願いし、従業員の自主的な退職を会社側が促す行為のことです。

    会社側は、退職勧奨を原則として自由に行うことができますが、従業員も退職勧奨に応じる義務はありませんまた、勧奨行為には限界があり、方法によっては違法となる可能性があるので注意が必要です

  2. (2)違法行為になり得る退職勧奨の方法

    違法行為となる退職勧奨行為のことを一般に退職強要といいますが、裁判などで違法な退職強要にあたると判断されると、会社は当該従業員に対して損害賠償責任を負うことになります。さらに、従業員が退職強要に基づいてした退職の無効を主張し、その主張が認められると、その従業員とは雇用契約が継続していることになりますから、実質退職した後の給料も支払わなければならなくなる可能性が出てきます。

    そのような事態に陥らないためにも、違法な退職勧奨と評価され得る行為をあらかじめ知っておく必要があります。

    具体的には、以下のような行為をすると、違法な退職勧奨行為があったと評価される可能性が高いでしょう。

    • 退職勧奨を長期にわたって繰り返し行う
    • 退職に応じない意思を明確に表明した従業員に対して、執拗に退職勧奨を続けた(退職に消極的な意思を表明している従業員に、再検討を求めたり、翻意を促したりすること自体は、よほど態様に問題がない限り、違法とは評価されません。)
    • 短期間であっても、長時間隔離するなどをして退職勧奨を行う
    • 自ら退職してもらうため、罵倒したり無視をしたり、不当な業務命令を行う
    • 退職を促すため、仕事を奪ったり、逆に過酷な業務に従事させたりする
    • 退職しなければ給与を大幅に減らすと告げるなど、退職せざるを得ないと思わせた

4、弁護士に相談するメリット

会社に従わない人間は辞めさせればいいと思うかもしれませんが、従業員はその立場の弱さから法律で保護されているため、会社側から従業員を解雇しようと考えたとき、やり方を間違えれば、会社の損失を伴うトラブルに発展してしまいます。解雇はしなかったとしても、違法な退職勧奨と判断された場合も、不当解雇と同等の結果をもたらしてしまう可能性があります

従業員との労働トラブルを生じないようにするためには、どのように対応するかが大きなカギを握ります。弁護士にあらかじめ相談した上で対応することによって、訴訟を起こされてしまうなどの大きなトラブルへ発展するリスクを軽減できます。また、トラブルとなった場合でも、解雇の正当性を主張できるように備えておけば、交渉を有利に進めることができるでしょう。もし、トラブルが訴訟にまで発展してしまったときは、速やかに弁護士に対応を依頼したほうがよいでしょう。

5、まとめ

業務命令に違反したことを理由に従業員を解雇できるのかについて解説しました。法律(裁判所)は、労働者の権利を保護する観点から解雇の適法性を厳格に考えるため、会社側としては正当な理由があり適法な解雇だと思っていても、不当な解雇や退職勧奨だと評価されてしまう可能性があります。

従業員の対応についてお悩みの際は、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士へご相談ください。労働事件の経験が豊富な弁護士が、適切な対応方法をご提案します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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