ネットショップをやりたいけれどトラブルが心配なあなたに弁護士が解説!
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平成30年9月、中国のネットショップで見かける「白い恋人」の正規代理店はすべて偽物だったと揚子晩報の記事が伝えました。これは海外で勝手に正規品として偽物を売っていたネットショップのトラブルですが、いつどのようなトラブルに巻き込まれるのかはだれにもわかりません。ネットショップをやろうと思っていても、さまざまな不安に襲われることでしょう。
それでも、最近はインターネットの発達により、気軽にネットで通販するネットショップをオープンさせて、商売を楽しむ方が増えてきているのは確かです。その仲間入りを考えているあなたに、ネットショップで心配されるトラブルの具体例をベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士が解説します。
1、ネットショップの運営者が陥りがちなミスやトラブル
いざ、ネットショップをやってみれば、発送のやり方にクレームがつくような細かいことを始め、想像もつかないようなトラブルに見舞われる可能性があるでしょう。以下に代表的なネットショップトラブルを解説していきます。
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(1)誇大表示トラブル
集客のためとはいえ、誇大な表現や「これを購入したらもれなくこれをプレゼント!」などの景品などを使って、本来よりも商品やサービスをよいものに見せようとしている業者は、景品表示法違反に問われる可能性があります。
景品表示法は主に「不当な表示」と「不当な景品」のふたつを禁止しています。
不当な表示とは商品やサービスの本来の品質、価格を過度によりよく見せようとする表示のことです。調査も何もしていないのに「お客さま満足度No1」「顧客満足度99%」とうたったり、本当の価格をよく見せるために、元の金額をわざと高くつけて、現在の値段を安く見せたりするなどが典型的な不当表示です。
消費者に誤解を招くような、消費者がだまされてしまうような過度な表現で、商品をよりよく見せるような表示を景品表示法では禁止しています。また、本来入っていないはずの成分や食材などを記載するのも不当表示にあたります。
不当表示は「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他誤認される恐れのある表示」の3種類に分かれています。また不当な景品類とは、お客さまを呼び込むために、つける物品や金銭など、経済上の利益のことを指します。 -
(2)クレームトラブル
クレームを恐れるあまり、ノークレーム・ノーリターンの表示をして販売したとしても、クレームを入れられるどころか、違反にあたるものがあります。「ノークレーム・ノーリターン」とは、一般的に売買の条件として、売り主が一切のクレーム・返品を受け付けないことを表しています。
このように、販売者が商品の隠れた欠陥やキズの責任を負わない特約も原則として法的に有効です。ただし、事情によっては、特約が無効になったり、購入者が契約を解除したりできる場合があります。まず、販売者が知っていたのに購入者に伝えていなかった欠陥やキズについては、特約があっても販売者が責任を負うことになる可能性があるでしょう。
また、注文した商品説明が事実と異なっていたような場合は、購入者は売買契約について、錯誤による無効や詐欺による取り消しを主張されることがあります。
さらに、販売者が事業者、購入者が消費者であるときは、消費者契約法が適用され、購入者に不利なノークレーム・ノーリターンの特約は無効になる可能性があるので注意してください。 -
(3)未払いトラブル
ネットショップの商品代金の支払い方法には後払いの制度も多くあるようです。しかし、その設定では、未払いのトラブルが発生する恐れがあります。
万が一未払いトラブルにあったときは、督促状を送ったり、場合によっては少額訴訟を起こしたりしなくてはいけなくなるかもしれません。訴訟といっても、どうしたらいいかわからなくて、戸惑うことになるでしょう。そのようなときは、あらかじめ相談できる弁護士がいると何かと安心です。 -
(4)誹謗中傷書き込みトラブル
せっかくいい商品をそろえて、誠心誠意商売をやっていたとしても、たった1件の誹謗中傷書き込みで、売り上げが落ちてしまうこともあるでしょう。そのようなトラブルに見舞われたときには、誹謗中傷をしているサイトに対して削除依頼をするなどの対応をする必要があります。
しかし、個人事業者が申請したとしても、管理者がすぐに対応してくれる可能性は低いものです。その際も弁護士が力になってくれる可能性が高いです。 -
(5)個人情報漏えいトラブル
平成26年、通信教育、出版事業の某社が3500万件にのぼる膨大な顧客情報が不正に持ち出されていたことが発覚しました。この会社は被害者でもありましたが、見舞金の支出や顧客の流出などで、大幅な赤字に転落しています。
今日では、どの事業所でも同様の事態が起こる可能性があります。個人のネットショップであっても、パソコンやメディアの持ち出し禁止、ウイルス感染対策の徹底など、最低限度のルールを守ることが重要です。
2、ネットショップのトラブルを事前に防ぐためにできる3つのこと
特定商取引法でいう「通信販売」とは、雑誌や新聞、インターネットなどの媒体を通じて広告し、郵便や電話、ファックスやメールなどによって申込みを受ける販売方法を指します。ネットショップもこれにあたるでしょう。
ネット通販の広告、ホームページ、アプリなどを作成、運営するときは、特定商取引法の「通信販売」に関する規制に従う必要があります。他にもトラブルを事前に防ぐ方法を解説していきましょう。
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(1)免責事項を載せる
あらかじめトラブルになりそうなことは、免責事項として先にサイト上に掲載しておくといいでしょう。
ただし、事情によっては、前述のとおり特約が無効になったり、購入者が契約を解除したりできる場合があります。まず、販売者が知っていたのに購入者に伝えていなかった欠陥やキズについては、特約があっても販売者が責任を負います。どのような免責事項を載せたほうがよいかは、弁護士に相談することをおすすめします。 -
(2)特定商取引法の記載をする
「特定商取引法」は前述のとおり、事業者と消費者間のトラブルを未然に防ぐため、そして悪徳業者から消費者を守るための法律です。特定商取引法の第11条「広告の表示」によって定められた次の13項目を表示することが義務付けられています。
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払い時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 商品(指定権利)の売買契約の申込みの撤回または解除に関する事項(返品特約含む)
- 事業者の名前、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者など代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 申込みの有効期限があるときには、その期限
- 販売価格、送料など以外に購入者などが負担すべき金銭があるときには、その内容およびその金額
- 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 商品の販売数量の制限など、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容
- 請求によりカタログなどを別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
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(3)ネットショップのトラブルについて弁護士に相談すること
「ネットショップにまつわるさまざまなトラブルを解説しました。どのトラブルにおいても、最終的に弁護士に相談するようなトラブルに発展する可能性があります。
しかし、事前に弁護士に相談することで防ぐことができるトラブルは少なくありません。また、このネットショップには顧問弁護士がついているということで、無用な悪質行為の抑制力になることも期待できます。
ベリーベスト法律事務所では、顧問弁護士サービスを提供しています。費用面も含め、まずはお気軽にお問い合わせください。
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3、まとめ
ネットで商品を売ることは非常に敷居が低く感じるかもしれません。しかし、店舗などで商品を売るのと同様、商材の種類によってさまざまな届け出が必要になります。それら専門の法律を熟知し、届け出を行う必要があることを知らないままネットショップを開店してしまうと、思わぬトラブルに襲われてしまう可能性があるでしょう。
たとえば、輸入品や家電品などにも、それぞれ届け出やルールがあります。それらの相談窓口も異なっている点に注意が必要です。しかし、どうしたらいいのかわからないというときはネットショップ関係に対応した経験が豊富な弁護士に相談しながら開店準備を進めることをおすすめします。
ネットショップを開設しようとして不安がある場合には、ベリーベスト法律事務所・札幌オフィスの弁護士に、お気軽に法律相談ください。転ばぬ先のつえとして、あなたの事業が思わぬ法律トラブルに巻き込まれないよう、対応します。
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