不法投棄とは? 初犯の場合の罰金や逮捕後の流れについて

2023年10月26日
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不法投棄とは? 初犯の場合の罰金や逮捕後の流れについて

コロナの感染対策が緩和されたことにより、週末になると河川敷がバーベキューでにぎわうことも増えてきました。一方で、バーベキュー後の不法投棄が問題となり、近隣住民や各自治体が頭を悩ませていることも少なくありません。札幌市が管理するバーベキュー施設では、こうした不法投棄を防止するために、ごみ袋を有料化するなどして対策を講じています。

不法投棄にあたる行為は、空き地への粗大ゴミの投棄などだけではなく、こうしたバーベキュー後の不始末も含まれます。ほかにも、空き缶やペットボトル、タバコの吸い殻などのゴミを、道端などへポイ捨てする現場を目撃したことがある方は多いのではないでしょうか。このような行為は多くの人々が気軽に行っているため、単なるマナー違反と捉えられがちですが、実はれっきとした「不法投棄」という犯罪です。そんな大げさな、と思うかもしれませんが、場合によっては警察沙汰になり、逮捕にいたる可能性がありえるのです。

そこで今回は、不法投棄で逮捕された場合、どのような手続きを経て、どのような刑罰を受ける可能性があるのか、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士が解説します。

1、不法投棄とは

  1. (1)法的な根拠

    ゴミをいつでもどこでも捨てられるとしたら、街の景観が損なわれ、公衆衛生環境が著しく悪化し、健康被害も生じかねません。それらは社会不安を引き起こし、社会に対する経済的な打撃も多大なものとなるでしょう。そこで「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、通称、廃棄物処理法では、廃棄物の分別や運搬、処理方法などを規制しています。

  2. (2)廃棄物とは

    廃棄物処理法では、勝手に捨ててはならない対象である「廃棄物」と、適法に捨てられる場所である「処分場」が定められています。廃棄物を、定められた処分場以外の場所へ捨てた場合に、不法投棄となります。

    廃棄物処理法によれば、廃棄物とは以下に挙げるもののうち、固形状または液状のものを指します。

    • ゴミ
    • 粗大ゴミ
    • 燃え殻
    • 汚泥
    • ふん尿
    • 廃油
    • 廃酸
    • 廃アルカリ
    • 動物の死体
    • その他の汚物、不要物

    判例では、「廃棄物」とは占有者自身での利用や他人への有償売却ができず、不要になったものと示しています。廃棄物でないという主張するならば、客観的に再生利用や取引の実態があることや、対象物を適正に管理していることを証明する必要があります。したがって、「判断する者によっては価値を見いだせるから不要物ではない」といった主張は認められません。

    なお、廃棄物処理法ではさらに「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の区別があります。これらの区別は、刑罰の重さともかかわってくることを知っておきましょう。

    ●産業廃棄物
    事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、その他政令で定める廃棄物に加え、輸入された廃棄物と携帯廃棄物のこと。
    ●一般廃棄物
    産業廃棄物以外の廃棄物。

  3. (3)処分場

    法律で定められた処分場には、以下の2つがあります。

    • 一般廃棄物最終処分場
    • 産業廃棄物最終処分場

    これらは環境省令で定められる一般廃棄物・産業廃棄物の最終的な処分場です。最終処分場へ送られる前段階で、再利用や再資源化ができるものは別途処理されます。 これらの処分場以外、たとえば道路や私有地、山、河川、海などであり、廃棄物を捨てる場所(ゴミ捨て場など)と定められていない場所への投棄は、不法投棄に該当します。

2、不法投棄の刑罰

不法投棄の刑罰は意外と重く、懲役刑や高額の罰金刑が科されるおそれがあります。また、個人の場合と、法人が業務上により投棄した場合とは刑罰が異なります。

  1. (1)個人と法人

    個人が不法投棄を行った場合、その刑罰は5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科と定められています(廃棄物処理法第25条第1項第14号)。未遂も処罰対象となります(同条第2項)。

    また、法人が業務上の産業廃棄物を不法投棄した場合、その刑罰は3億円以下の罰金と定められています(廃棄物処理法第32条第1項第1号)。法人による不法投棄は経営者が手間や出費を惜しんで行われることがほとんどであり、懲罰の意味からも罰金は高額となっています。

  2. (2)不法投棄目的での収集・運搬の刑罰

    不法投棄そのものではなく、不法投棄することを目的として廃棄物の収集や運搬をした場合にも刑罰が科されます。その刑罰は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科と定められています(廃棄物処理法第26条第6号)。

3、不法投棄で逮捕された場合の流れ

  1. (1)逮捕のパターン

    逮捕には、犯行現場で逮捕される「現行犯逮捕」と、逮捕状によって後日逮捕される「通常逮捕」とがあります。不法投棄の場合、行政によるパトロールや監視カメラ映像などによって発覚するケースがあります。

    その他には、廃棄物そのものに氏名や住所などの個人情報が残っていて不法投棄をした者が判明する場合や、処分を委託した業者が不法投棄をしたという場合もあります。なお、業者に委託すれば、あとは無関係となるわけではありません。不法投棄を依頼した者にも罰則が科せられる場合があります。きちんと認可を受けた業者かどうかを確かめ、適正な価格で依頼をすべきでしょう。

  2. (2)逮捕されたあとの流れ

    逮捕後、警察での取り調べが48時間を上限として行われます。その後、検察で24時間を上限とする取り調べが行われます。この間、家族であっても面会などについて制限を受けます。

    また、逮捕から72時間以内に取り調べが終了しない場合、原則10日間、延長を含めると最長20日間の勾留がなされます。

    取り調べののち、検察で不起訴と判断されれば釈放されますが、起訴されると刑事裁判になり、有罪か無罪かの判断が下されます。

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4、不法投棄で逮捕された場合の対処法

  1. (1)弁護士に依頼する

    一度逮捕されてしまうと最大72時間は家族とも面会が許されず、ひとりで取り調べに耐えなくてはなりません。しかし、弁護士であればいつでも面会が可能です。弁護士との相談の上で適切な対応を取ることによって、早期釈放や、罰金の額を抑えられる可能性もあります。

    前述の通り、不法投棄は廃棄物処分の手間や出費を抑えるために行われることが多い犯罪です。そのため、罰金は高額となりがちです。一定の弁護士費用はかかりますが、結果的に科される罰金額との兼ね合いでは、大きな出費とならないことも十分にありえます。

    長期にわたる拘束をされることになれば、日常生活にも非常に大きな影響を及ぼす可能性は否定できません。早期釈放を目指すためにも、早急に弁護士へ依頼すべきでしょう。

  2. (2)示談などで反省の意を示す

    不法投棄は、窃盗や傷害といった犯罪のように明確な被害者をイメージしにくいため、当事者の罪の意識も低いことがあります。しかし、不法投棄は社会全体の処分コストを上げ、税金を浪費させ、環境や公衆衛生にも悪影響を及ぼす重大犯罪です。

    警察や検察での取り調べに対しては、きちんと罪の重さを自覚し、反省の意を示すことが大事です。また、被害者と示談をし、問題解決に向けて取り組んでいる実績を示すことも重要です。

    これらも、やはり刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士によるサポート受けることをおすすめします。

5、まとめ

今回はどのような行為が不法投棄にあたるか、また不法投棄の刑罰はどの程度かといった点について解説しました。不法投棄は、「みんなもやっているから」「ゴミ捨て場まで行くのが面倒だから」などの気軽な考えから犯してしまうことも多い罪です。しかし、実は法律では非常に重い罰則が設けられている、犯罪行為なのです。

不法投棄が見つかり、逮捕されてしまった場合には、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスまで速やかにご相談ください。刑事事件の経験豊富な弁護士が、取り調べの対応方法や早期釈放へ向けてどのように取り組めばいいかなどへのアドバイスを行うとともに、全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています