詐欺罪で捕まったときの罰則とは? 前科がつかないようにすべきこととは

2019年01月29日
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詐欺罪で捕まったときの罰則とは? 前科がつかないようにすべきこととは

札幌市で2018年9月19日、携帯電話料金を支払うためにお金を貸してほしいとうそをつき、現金をだまし取った女が逮捕されました。そのほかにも、警察署の発表から、札幌で多くの詐欺事件が発生していることがわかります。中には無銭飲食など、街中で見かけるような事件も詐欺罪に該当します。詐欺罪は、われわれが思っている以上に身近な犯罪なのです。

もし身内が詐欺で逮捕されたと聞かされたとき、家族としてはどうすればよいでしょうか。

ここでは詐欺罪がどのような犯罪で、刑罰が設けられているか、もし逮捕された場合、前科がつかないように家族はなにをすべきかについて解説します。

1、詐欺罪とは

  1. (1)詐欺罪の定義

    だまされたとき、「詐欺だ」ということがあります。しかし、刑法第246条で定めている詐欺罪は、他人をだますだけでなく、財物を交付させることが必要となります。有罪となったときの法定刑は10年以下の懲役です。刑法第250条に定めてあるように、未遂の場合でも処罰されます。

  2. (2)詐欺罪が成立する条件・ポイント

    詐欺罪が成立する条件について、もう少し詳しくみていきましょう。
    詐欺罪と認定されるには、

    • 相手をだます行為があること
    • 上記によって被害者が事実とは違った認識に陥ること
    • 相手がだまされて、金品を引き渡すこと
    • だますつもりで、金品を受け取る(もしくは、サービスを受ける)こと


    これらに関連性があれば、詐欺罪になります。

    しかし、詐欺罪は相手をだますつもりがあったか、客観的に判断することが難しい犯罪です。

    たとえば、借りたお金を後で返すつもりだったと言われてしまえば、詐欺行為として成り立ちません。逆に、詐欺の疑いで逮捕され、だますつもりがなかったとしても、だます意思がなかったことを明らかにできなければ、最終的に詐欺罪の前科がついてしまう可能性もあるでしょう。

  3. (3)実際に行われる詐欺の手口

    詐欺の手口は多様化していますが、以下のようなものがよくあります。

    • 「簡単に稼げる」などのうたい文句で誘って、金品をだまし取る
    • もうかる投資と称して、金品をだまし取る
    • 「オレオレ詐欺」などのように、他人になりすましてお金の要求をする
    • 利用していないサービスの架空請求を送り付ける


    このほかにも多々ありますが、どれも慎重に判断すれば、加害者となることは避けることができるでしょう。もうけ話に安易に乗ってしまい、自らの身分を偽らなければならないようなアルバイトや仕事に従事した結果、詐欺の受け子として逮捕されてしまったときも、詐欺罪として起訴されるケースもあります。結果、アルバイト代すら受け取れないケースが多いことも報道されているのです。

2、刑期はどれくらいか

詐欺罪で捕まった場合、どのくらい重い罪が科されるのでしょうか。刑罰には一定の範囲がありますが、そのときの状況や犯人の行動、態度などによって刑期が決定されます。

  1. (1)詐欺罪の刑期

    詐欺は、10年以下の懲役に処すると法律で定められています。しかし、何度も詐欺をしていると、刑期は上限が2倍の20年に伸びてしまいます。刑期は結果の重大性、損害額や詐欺行為の悪質性によって決められます。

  2. (2)執行猶予になる可能性はある?

    執行猶予がつくことで、刑務所に収監されることなく生活することが可能になる場合があります。悪質な詐欺でなく、損害額も小さい場合などが該当します。また、初犯であることも重要でしょう。

    被害者との示談も有効的です。示談は事件の起訴・不起訴を決める段階でも重要になってきますが、示談の事実は裁判所の判決にも影響します。

    なお、執行猶予期間中でも、本人が罪を犯した場合は、執行猶予が取り消されることになります。そのときは、懲役刑に服することになります。懲役刑とは、いうまでもなく刑務所で服役する刑罰です。

3、詐欺罪による逮捕の条件とは

  1. (1)詐欺罪で逮捕される条件

    逮捕にも種類があり、現行犯逮捕や通常逮捕と呼ばれるものなどがあります。通常逮捕の場合は、裁判所が発行する令状が必要です。被害者が警察に相談し、捜査が始まり、犯行からしばらくたってからの逮捕となります。

    通常逮捕される前に、警察から任意聴取を依頼する電話がくることもあるでしょう。詐欺を働いた事実が明らかであるにもかかわらず、これを拒み、逃亡を図ると、通常逮捕に至る可能性が高まります。

    また、現行犯逮捕は、犯行中、もしくは犯行直後に身柄を拘束されることを指します。この場合は、逮捕する者は警察官である必要はなく、誰でも逮捕することができます。

  2. (2)詐欺罪で逮捕された場合の拘束期間は?

    逮捕されると身柄が拘束されます。最初は留置所に拘束され、警察の取り調べを受けることになります。この期間は最大48時間で、その後は検察に移され、そこでは最大24時間拘束されることになります。

    軽微な犯罪で、身元引受人がいるなど、条件がそろっていれば、ここまでで釈放される可能性もあります。その後は、多くのケースで在宅事件扱いとして引き続き検察の捜査に協力する必要があるでしょう。

    しかし、重大な事件や本人に反省の色がみられない、逃亡や証拠隠滅の可能性があるなどとみなされれば、「勾留」の必要があると判断されます。勾留とは、検察が身柄を拘束したまま取り調べを行うことを指します。勾留には裁判所の判断が必要で、認められれば、最長20日間、拘束されることになります。

    もちろん、逮捕・勾留中は仕事や学校へ行くことはできません。身柄の拘束期間が長期になればなるほど、日常や将来への影響が大きくなる可能性を否定できません。

  3. (3)証拠の隠滅や逃亡の可能性が低い場合は逮捕されない?

    なお、前述のとおり、逮捕されずに捜査が進められるケースもあります。たとえば、詐欺を行った本人に証拠の隠滅や逃亡の恐れがないと判断された場合には、無理に拘束する必要がないため、「在宅事件扱い」として捜査が進められます。

    ただし、状況に応じて再び拘束される可能性もあるでしょう。

4、前科がつかないようにするために

  1. (1)示談をするメリット

    有罪判決が下されると前科がつきます。すると社会的にさまざまな不都合が生じてくるでしょう。そのためできるだけ前科がつかないようにすることが大切です。

    逮捕されてから有罪判決を避けるためにできる、もっとも有効的な手段は示談です。被害者に謝罪し、交渉をすることで不起訴となる可能性が上がります。また、起訴されたとしても情状を酌量され、刑が軽くなるかもしれないという可能性もあります。

  2. (2)示談に応じてもらえない場合

    被害者が示談に応じないことは十分あり得ます。しかしその場合でも、できることはあります。事件後すぐだと相手も感情的になっている可能性があり、しばらく待ってから弁護士が交渉することによって、示談交渉が行えるケースもあります。

    また、反省の意思を伝えることや、再び詐欺を犯さないように防止策を自ら講じることで、相手方のみならず検察官や裁判官に情状を酌量してもらうこともできるでしょう。示談ができなくても贖罪(しょくざい)寄付をすることで、反省の気持ちを形にすることもできます。

    状況に適した対応については、弁護士に相談してください。刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士であれば、事件の内容や捜査の段階によってベストな対応を行うことができるでしょう。

5、まとめ

詐欺がどのような犯罪であり、どのように罰則が決められるか、また前科がつかないようにするには示談が非常に有効的であるということなどを紹介しました。しかし実際に示談を成立させるには、被害者の心情を考えて、詐欺をした本人や身内が行動するよりも、弁護士に依頼するほうがよいでしょう。

逮捕後はできるだけ早く弁護士に相談することで、長期の身柄拘束や起訴を回避できる確率が上がります。また拘束中にすべき行動など、アドバイスも受けられ、裁判まで進んだとしてもサポートが受けられ流転もメリットとなるはずです。

家族が詐欺事件の容疑者となってしまったときは、ベリーベスト法律事務所・札幌オフィスへご相談ください。必要以上に重い罪が科されないよう、適切な弁護活動を行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています