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傘を無断で拝借したら逮捕される? 窃盗罪の概要と示談の重要性

2021年08月02日
  • 財産事件
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傘を無断で拝借したら逮捕される? 窃盗罪の概要と示談の重要性

北海道警察が公表している統計データによると、令和2年に北海道全域で認知された窃盗犯は10285件、札幌市内に限ると5734件でした。年々認知件数は減っているものの、いまだ窃盗の罪に手を染めてしまう方は身近に存在すると考えられます。

傘や自転車を勝手に持ち去る、スーパーやコンビニで万引きする、住宅に侵入して金品を盗みだすなどの行為は、原則としてすべて窃盗罪として罪に問われることになります。本コラムでは、実際に罪に問われることになる要件から、逮捕された場合どう対処すればいいのか、有罪となったらどの程度の量刑となるのかについて、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士が説明します。

1、窃盗罪とは?

窃盗罪というと、空き巣や車上ねらいなどを連想する方が多いようです。しかし、それらは窃盗の手口のひとつに過ぎません。あらためて、窃盗とはどのような犯罪なのかを確認してみましょう。

なお、窃盗の罪と刑罰を定めた刑法第235条には、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。

  1. (1)どんな行為が窃盗罪にあたるか

    代表的な窃盗の手口は、「万引き」「侵入窃盗」「自転車盗」「車上ねらい」「部品ねらい」「タイヤ盗難」など、さまざまです。

    ただし、窃盗の罪に問われる際は、単純になにかを盗んだというだけではなく、もう少し細かい要件が求められます。具体的には、「他人」の「財物」を「不法領得の意思」に基づいて「窃取」することが必要となるのです。

    このように要件が厳しく定められているのは、犯罪にあたる行為とあたらない行為、特定の犯罪行為と別の犯罪行為を区別して、基本的人権を保護するためです。

  2. (2)窃盗罪の各要件について

    窃盗罪の各要件がなにを区別するために規定されているのかをみていきましょう。

    ●財物の他人性
    窃盗罪の成立には、被害にあった対象物が「他人の物」である必要があります。なにをもって「他人の物」であるのかは少々難しく、「占有(せんゆう)」という言葉で解釈されています。たとえば、他人の持ち物であるお金や宝石を盗んだときはもちろん、自分が貸した持ち物を返してもらう前に勝手に取り戻した場合でも窃盗罪に該当することがあります。

    ●財物性
    次に、盗みとった対象物に財産的価値がある必要があります。たとえば店に並んでいる商品や他人の自転車、傘などには財物性が認められるので、窃盗罪が成立します。また、「財物」とありますが、形のある物だけではなく、ガスや電気も対象となります。たとえば、店舗で勝手に電源を借りて、スマートフォンの充電をしたケースでも、窃盗に問われる可能性があると考えておいたほうがよいでしょう。

    ●不法領得の意思
    窃盗罪における不法領得の意思とは、「権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従いこれを利用・処分する意思」を指します。つまり、一時的に物を借り受けたケースや単に物を壊す目的で盗んだようなケースでは、窃盗罪にはあたりません。

    ●窃取
    窃取とは、「占有者の意思に反して占有を自分や他者に移すこと」をいいます。方法や手段に制限はなく、被害者の意思に反して財物の占有を自分や他者に移せば「窃取」にあたります。

    これらの細かい要件は、「窃盗」を罪として処罰すべき程度の行為かどうかを判断するとともに、器物損壊罪(刑法第261条)などと区別するためにあります。刑法上、異なる犯罪として定められていれば量刑も違ってくるので、各犯罪の成立要件は厳格に判断されます。

  3. (3)窃盗の未遂と既遂の区別

    犯罪の実行に取り掛かることを「実行の着手」と呼び、成し遂げると「既遂」となります。ただし、犯罪を実行しようと行動しても成し遂げられなければ「未遂」となり、刑が軽くなることがあります(刑法第44条・第43条)。

    窃盗罪にも、刑法第243条で未遂犯の処罰規定があるので、どこまでの行為で未遂と既遂が分かれるのかが問題となります。

    窃盗における「実行の着手」は、窃盗の現実的な危険が生じた時点と判断されています。具体的には、スリ行為の目的で被害者のポケットの外側に手を触れた時点や住居に侵入して窃盗する目的で家の中でタンスなどに近づいた時点が該当します。

    次に、「未遂」か「既遂」かは、現場の状況、盗もうとした財物の形状や大きさ、管理の状況、建物の構造、時間帯などのさまざまな要素を総合的にみて判断します。たとえば、小銭やお菓子など、手のひらに収まる程度の大きさの物ならポケットに入れた時点で既遂となるでしょう。

  4. (4)窃盗罪の量刑

    窃盗罪の刑罰は、条文に定められているとおり、下記のいずれかとなります。

    • 10年以下の懲役
    • 50万円以下の罰金


    懲役は、刑務所での服役です。具体的にどちらの刑でどれぐらいの処罰が与えられるかは、個別の事案によって異なります。

    たとえば初犯である、盗んだ物が高額製品ではない、被害者との示談が済んでいる、盗んだ物を買い取った、などの事情があれば、検察まで行かずに刑事手続きが終わる「微罪処分」や、不起訴となる可能性があります。その場合は、前科がつくことはありません。ただし、「前歴」と呼ばれる警察や検察の捜査履歴が残ります。

    一方で、何度か窃盗の疑いで警察に検挙されている、盗んだ物が高額だった、そのほかの刑法にも触れる行為をしていたなどのケースでは、懲役刑が科せられることもあります。

2、窃盗罪で逮捕されたら

ここからは、窃盗罪で逮捕されてしまうケースと、逮捕後にどう行動すべきかをみていきましょう。

  1. (1)窃盗罪で逮捕されるケースとは

    逮捕には、犯行現場で逮捕される「現行犯逮捕」と、逮捕状によって後日逮捕される「通常逮捕」とがあります。

    現行犯逮捕は、窃盗の現場で、目撃していた一般人や店員などに取り押さえられるケースが代表的です。一方、「通常逮捕」されるケースでは、監視カメラの映像として証拠が記録されていて、取り調べしようしたときに逃亡したり、証拠を隠滅したりする危険性があると判断されたケースなどが考えられるでしょう。

    犯行が監視カメラなどによって明らかである場合、任意同行を求められるケースもあります。素直に容疑を認め、示談を成立させるなど反省の意を示すことで、身柄を拘束する「逮捕」を回避できる可能性もあります。そのケースでは「在宅事件扱い」となり、捜査が進められることになります。無罪放免というわけではないので、警察に呼び出しに応じて捜査に協力する必要があります。

  2. (2)逮捕から裁判まで

    万が一、逮捕されてしまった場合は、警察での取り調べが始まります。逮捕として身柄を拘束できる期限は48時間と定められているため、それまでに事件を検察に送るかどうかを検討します。事件を検察に送ることを「送致」と呼ばれています。

    検察へ送致されれば、勾留請求をするかどうかの判断がされます。裁判官が勾留決定をすると延長も含めて最長20日間の「勾留」がなされます。勾留は、拘置所か留置場で身柄を拘束し続けることを指します。検察官は、勾留期間の満期までに、「起訴」もしくは「不起訴」の判断をします。

    検察による捜査の末、「不起訴」となれば事件は終了します。しかし、「起訴」されると刑事裁判へ移り、有罪か無罪かの判断が下されます。

  3. (3)逮捕後に取るべき行動と示談

    窃盗の罪が問われることになった場合、「いち早く拘束を解かれ日常生活に戻りたい」と考えることでしょう。事実、起訴されるかどうかが決まるまででも最大23日間も身柄を拘束され続けることになります。当然、その間は会社へ行くことも家に帰ることもできなくなります。

    次に、「罪は認めるから、少しでも刑罰を軽くしたい」と考える方もいるでしょう。可能であれば「前科がつくのを回避したい」と思うかもしれません。家族が、窃盗の罪に問われてしまったケースであればなおさらです。

    いずれの場合も、被害者との「示談」が特に重要となります。示談とは、事件の当事者同士が話し合いを通じて事件を解決しようとするものです。

    刑事事件における示談では、加害者が被害者に対して謝罪と賠償を行うとともに、被害者には、加害者に対して刑事処罰を望まないという文言が入った示談書を交わしてもらいます。

    示談が成立していれば、起訴されることはもちろん、そもそも事件として警察に捜査されることも回避できる可能性もあります。反省しているのであれば、警察から連絡が来る前に、被害者に対して謝罪の意を示し、示談交渉するほうがよいでしょう。

    ただし、個人が店舗と交渉することは難しいケースが多々あります。そこで、弁護士に依頼して、謝罪の際に同行してもらう、示談交渉を代理で行ってもらうなどの対策を行うことをおすすめします。

    しかし、加害者本人が行動できるのは、逮捕前までです。逮捕されてしまえば、被疑者は身柄を拘束されているため、被害者と会って示談交渉をすることができません。家族とも面会が禁じられます。唯一、「接見」と呼ばれる面会を自由に行う権利を持っているのが、弁護士でもあります。

    万が一逮捕された際は、できる限り早いタイミングで弁護士に依頼することで、示談交渉が可能となるでしょう。早期に示談が成立すれば、前科がついてしまう最悪の事態を回避できる可能性が高まります。窃盗してしまい、逮捕される不安がある場合は、できるだけ早く弁護士に相談しておくことをおすすめします。

3、まとめ

今回は、窃盗罪の成立要件と逮捕後の注意点をご紹介しました。窃盗罪では、「魔がさしてやってしまった」などといった言い訳は通用しません。被害者との示談などによっても処遇が変わる可能性がありますので、まずは弁護士に相談してみましょう。

窃盗罪で後から逮捕されるのではないかという不安を抱えている、警察から連絡が来たという方は、ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスまでご連絡ください。札幌オフィスの弁護士がアドバイスから示談、弁護にいたるまで、あなたの将来にできるだけ影響が出ないよう、全力で弁護活動します。札幌近郊にお住まいの方はもちろん、北海道全域でご対応が可能です。まずはご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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