ギャンブル癖のある夫と離婚したい!ギャンブル依存は離婚理由になる?
- 離婚
- 離婚
- ギャンブル
- 夫
- 札幌
札幌市の離婚率は高く、平成になってからは毎年、全国の離婚率を上回っています。また、平成29年の都道府県別離婚率では北海道が4位となっています。(札幌市役所、厚生労働省資料より)
離婚の原因は夫婦によってさまざまですが、そのひとつに配偶者のギャンブル癖や、ギャンブルによる借金が考えられます。
パチンコや競馬など、娯楽として楽しむぶんにはかまいませんが、依存症などにより生活に支障をきたすようになった場合、どのように対処したら良いのでしょう?
今回は、ギャンブル依存症といわれる状態を確認したうえで、その対処法や離婚理由となり得るケースについて解説いたします。
1、ギャンブル依存症とはどんな状態?
どのような状態になった人をギャンブル依存症というのでしょう? 回復する可能性はあるのでしょうか?
-
(1)ギャンブル依存症の症状
ギャンブル依存症は精神疾患のひとつです。世界保健機関(WHO)の公式名称は「病的賭博」とされています。
その名の通り、仕事を休んでまでパチンコに行く、負けた分を取り戻すために借金を重ねるなど、病的に賭博(ギャンブル)にのめり込む状態を指します。
趣味や娯楽との線引きが難しく、また、病院での診断をもって「ギャンブル依存症である」と判断されるわけですが、本人に自覚がないことからそもそも受診を拒むケースも多く、改善が容易ではありません。 -
(2)ギャンブル依存症は回復できる?
軽度のギャンブル依存症(ギャンブル癖)であれば、話し合いで回復する可能性もあるでしょう。
しかし、依存症の本人は「やめたくても、やめられない」状態にありますから、「ギャンブルをやめてほしい」と伝えられたことで怒りだすなど、夫婦関係が悪化する可能性もあります。
そういった場合には病院や専門機関での適切な治療がいると考えられます。消費者庁に依存症の相談窓口がありますから、そちらに問い合わせるのも良いでしょう。
2、夫がギャンブル依存症……妻にできることは?
配偶者にギャンブル依存症の疑いがある場合、どのように対処したら良いのでしょう? ここでは、夫がギャンブル依存症、または疑いがあるケースをご紹介します。
-
(1)ギャンブル依存症が回復に向かうよう配慮・治療をする
まずは夫に自分がギャンブル依存症であることを理解してもらうことが回復への第一歩となります。
病院や専門機関で適切な治療を受けるのが理想ですが、夫が病院などへ行くことを拒む場合、妻だけで相談に行くのも良いでしょう。 -
(2)妻がお金を管理する
可能であれば、妻がお金やカードの管理をし、夫には1日〇円など、決まった金額を渡すのが良いでしょう。お金を要求されても必要以上に渡してはいけません。
ただ、手元のお金では足りなくなった夫が借金してしまうケースなども考えられるため、注意が必要です。すでに借金をしていないか調べることも大切でしょう。借金があった場合の対処法は後述いたします。 -
(3)子どもへの影響に配慮する
夫婦に子どもがいる場合、夫のギャンブル依存が子どもに影響しないよう、配慮することが大切です。
ひとつの選択肢としては、離婚があげられます。ただ、ギャンブル依存の夫だからといって、必ずしも離婚することが子どものためになるとは限りませんから難しいところです。
生活費までギャンブルに使っている場合やすでに借金がある場合、暴力があるときなどには、離婚を視野に入れることも有効といえるでしょう。
3、夫に借金があった場合の返済はどうなる?
夫婦に子どもがいる場合、夫のギャンブル依存が子どもに影響しないよう、配慮することが大切です。
ひとつの選択肢としては、離婚があげられます。ただ、ギャンブル依存の夫だからといって、必ずしも離婚することが子どものためになるとは限りませんから難しいところです。
生活費までギャンブルに使っている場合やすでに借金がある場合、暴力があるときなどには、離婚を視野に入れることも有効といえるでしょう。
-
(1)借金の金額や借入先を正確に把握する
借金が発覚した場合、「金額」・「どこから(誰から)借りているのか」・「借りている期間」などを夫に尋ね、把握しましょう。
このとき、つい感情的になってしまいがちですが、正直に話してもらうためにも責めるような口調は避け、落ち着いて尋ねるようにしましょう。妻が協力姿勢を見せることで、夫が話しやすい環境となることもあります。
可能であればあらかじめ弁護士に相談し、借金の金額によっての対応や正直に話してもらえない場合の対応など、アドバイスを受けることをおすすめします。 -
(2)夫がギャンブルで作った借金、妻の返済義務は?
夫が個人でした借金であれば、基本的には妻に返済義務はありませんし、離婚時の財産分与(結婚生活中に夫婦共同で築いた財産をそれぞれの貢献度に応じて分けること)の対象にもなりません。
ただし、「生活費に充てるための借金」の場合と「妻が借金の保証人になっている」場合には例外となります。 -
(3)勝手に妻を保証人にしていた場合
それでは勝手に妻を保証人としていた場合はどうなるのでしょう?夫が妻の本人確認書類や印鑑を勝手に持ち出し、借金していたケースなどです。
通常は借入先である金融機関が電話による本人確認を行いますから、そのようなことは起こらないはずです。万が一、知らない間に保証人にされていた場合にも返済義務はありません。
しかし、知らない間に保証人となっていた場合でも、債権者(金融業者などお金の借入先)からの請求に応じ、一部でも返済してしまうと、自分が保証人であると認めたことになってしまうので注意が必要です。身に覚えのない請求には決して応じないようにしましょう。
また、請求を無視し続ければ良いかというとそうではありません。お金を貸した側からしたら、妻のことを保証人だと思っているわけですから、妻が「私は保証人ではない」と証明しなければならないのです。内容証明で返済義務がない旨を通知するなどの対応が必要となります。自分だけで解決しようとせず、不安なことやわからないことは弁護士に相談しながら進めるのが良いでしょう。
4、ギャンブル癖を理由に離婚はできる?
妻が離婚したいと思っても、夫婦間の話し合いだけでは離婚できない場合(夫が離婚を受け入れない場合)、ギャンブル癖を理由に離婚することはできるのでしょうか?
-
(1)法律で定められた離婚理由
民法では、夫婦の一方が離婚を拒んでも一定の理由がある場合には離婚できるとしています(民法770条1項)。一定の理由とは次の5つです。
- 配偶者に不貞行為があったとき
- 悪意で遺棄されたとき(正当な理由なく生活費を渡さない、愛人宅に入り浸り帰ってこないなど)
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他、婚姻生活の継続が難しい重大な事由があるとき
-
(2)ギャンブル癖が直接の離婚理由とはならない
ギャンブルは直接の離婚理由にはあたらず、ギャンブル癖や借金があるからといって、直ちに離婚が認められるわけではありません。
ただし、夫婦にはお互い協力して結婚生活を送る義務があるにもかかわらず、仕事もせずパチンコや競馬ばかりしている、生活費までギャンブルに充てているなど、客観的に見て婚姻生活を続けるのが困難とされる場合には、離婚原因として認められる可能性があります。
現時点で離婚を考えている場合はもちろん、そうでない場合にも、ギャンブルにつぎ込んだ金額やギャンブルの頻度など、夫の状況がわかる証拠は残しておくのが良いでしょう。
5、ギャンブル依存が原因で離婚した場合、慰謝料・養育費は請求できる?
-
(1)慰謝料請求について
慰謝料とは、受けた精神的苦痛に対して支払われる賠償(金銭)をいいます。ギャンブル依存や依存症を理由に慰謝料が認められるかは、受けた苦痛の程度や状況などによって変わってきます。
また、慰謝料請求が認められても、相手が自己破産してしまった場合には受け取れなくなるので注意しましょう。 -
(2)養育費請求について
慰謝料は自己破産で帳消しになるリスクがあるのに対し、養育費に関しては支払い義務が継続します。自己破産後も子どもの親であることに変わりはないからです。
慰謝料と養育費、どちらも「ギャンブル癖に苦しめられたのだから、取れるだけ取ってやろう」と思ってしまいがちですが、しっかりと受け取るためには、相手の支払い能力を考慮したうえで金額を算出することが重要といえます。お金がない相手にどのように支払わせるかはとても難しい問題となりますので、実績が豊富な弁護士に相談・依頼するのが望ましいでしょう。
6、まとめ
夫が毎日パチンコばかりで真面目に働かない、生活費までギャンブルにつぎ込んでしまう……。そんな生活が続いたら離婚を考えるようになって当然かと思います。
しかし、いざ離婚となると、その後の生活のことや子どものことなど、不安に押しつぶされそうになってしまうでしょう。
ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスでは、ギャンブルによる借金問題や離婚問題に詳しい弁護士が、それぞれの状況を考慮したうえで適切なアドバイスや提案を行っています。
おひとりで苦しむことなく、ぜひお気軽にお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています