配偶者が浮気した! 弁護士に相談する前に準備しておくべき4つのこと
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札幌市が公表している資料によると、平成29年の離婚件数は4003組でした。平成29年度の司法統計によると異性トラブルを理由にしたケースは、男性で7.42%、女性では8.74%となっています。比率はさほど多くはないと感じるかもしれませんが、毎年配偶者の浮気などが原因となり、離婚した方がいることは間違いないでしょう。
配偶者の浮気が原因で離婚する場合は、慰謝料の請求等を含めて弁護士のアドバイスを受けて進めることをおすすめします。しかし、弁護士の相談は時間が限られています。場合によっては有料になるケースがあるため、あらかじめ準備して弁護士相談へ足を運ぶほうがよいでしょう。
そこで今回は、配偶者の浮気を弁護士相談する前に準備しておいたほうがよいことについて、札幌オフィスの弁護士が解説します。
1、そもそも浮気って? 浮気の定義をまず考える
弁護士に相談する前に、あなたが思う配偶者の「浮気」がどのようなものなのかを確認しておきましょう。浮気の定義は、人によってさまざまです。「手をつないだら」、「ふたりきりでご飯を食べたら」、「キスをしたら」、「個人的にメールをしたら」……など、人の数だけ浮気の定義があります。
しかし、法律上で離婚ができると決められている「浮気」は「不貞行為をしたとき」です。ここで登場した「不貞行為」とは、性交渉およびそれに類する行為を伴う交際をしていたことを指します。
つまり、キスだけやデートだけなどでは、民法上の不貞行為とみなされることはほぼありません。相手が離婚を拒み、裁判などになった場合でも離婚が認められることはないでしょう。
つまり、弁護士に「夫(妻)が浮気した」と相談しても、不貞行為に該当しなければ、弁護士ができることはほとんどありません。そこで弁護士に相談する前に、配偶者が本当に不貞行為をしているという事実をつかんでおく必要があります。できれば証拠があったほうが、スムーズに話ができるでしょう。しかし、証拠集めが難しいときは証拠の集め方などのアドバイスを受けることも可能です。
2、浮気している配偶者と絶対に問い詰めない
配偶者が浮気をしていると感じたら、理由や謝罪を求めて問い詰めてしまいがちです。責め立てたくなる気持ちは理解できますが、浮気をしている配偶者を問い詰める行為は百害あって一利なしの、悪手です。
浮気が原因で離婚を求める場合、もっとも重要となるものは「不貞行為の証拠」です。きちんと証拠を押さえる前に問い詰めることで「浮気の証拠を隠滅する」、「より巧妙に密会する」などの可能性があります。証拠を確保できなければ離婚することも、慰謝料を請求することもできません。
また、離婚時には夫婦の共有財産を、分割する「財産分与」が行われます。しかし、相手は逆に離婚を想定した上で財産を隠す可能性があります。財産分与で不利益を被らないようにするためにも、浮気の事実を知っていることや離婚したいことは察知されずに動く必要があります。
浮気している場合は、離婚する・しないに関わらず、慰謝料を請求できます。しかし、その金額は浮気の期間や回数によって増減しますので、証拠は多く集めるに越したことはありません。
3、離婚するかどうかをじっくり考える
配偶者の浮気が確定している場合でも、離婚に踏み切るかどうかを冷静になって考えましょう。確かに、不倫や浮気は許しがたいものですが、これからとる行動によってあなた自身がより不幸になってしまえば意味がありません。ご自身にとっての離婚のメリットデメリットを考えた上で、慎重に検討してください。
浮気をした本人たちに反省してもらい制裁を加えたいだけあれば、離婚をしなくても慰謝料請求が可能です。
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(1)離婚するメリット
まずは離婚のメリットを解説します。
- 浮気ストレスからの解放 配偶者の浮気が原因で離婚する最大のメリットは、「ストレスから解放されること」です。浮気をされることは本当につらいことです。一緒にいてもいなくても、配偶者のことを信じられなくなり、常に落ち込んだ状態になる方もいるでしょう。しかし、離婚すればそれらのストレスからは完全に解放されます。
- 慰謝料や財産分与などでまとまったお金を手に入れることができる 配偶者の浮気が原因で、離婚する場合は慰謝料を請求できる可能性があります。また、結婚期間が長い、もしくは夫婦の共有財産が多い場合は、多額の財産を財産分与で受け取ることが可能です。結婚期間中に購入した不動産や車、増えた資産はすべて夫婦の共有財産なので、半分受け取ることができます。
- 自由になれる 妻や夫への気遣いやケアなどに時間が割かれていた場合、離婚することであなたの自由時間を取り戻せます。セルフケアや趣味に時間がかけられるので、充実した人生を取り戻すことができるでしょう。
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(2)離婚のデメリット
次に離婚するデメリットを解説します。離婚を考える際は、離婚した後の明るい未来を思い描きがちですが、しっかりと現実を見据えておきましょう。
- 生活費が足りなくなる可能性がある 専業主婦や主夫、パートやアルバイトなど、相手の収入によって生活していた方が離婚する場合は、離婚すると生活に困窮する可能性があります。まず、離婚後は生活費が必要となるだけでなく、持ち家がない限り家賃を自分で支払わなければなりません。
- 財産分与で財産が減少する 財産を保有している方が浮気をされた場合でも、財産分与は行われます。たとえ浮気をした側であっても、原則2分の1の財産分与を受けることができます。
- 子どもと一緒に生活できなくなる可能性がある 子どもがいる夫婦が離婚する際は、離婚時に「親権者」を決めなければなりません。親権者は夫婦が話し合いによって、どちらが取得するか決定します。話し合いで決められなければ、調停や訴訟などで争うことになります。親権は、過去だけでなくこれからの育児環境などが基準となります。子どもと離れて暮らすことになる可能性があるでしょう。
- 養育費を支払わなければならない 子どもと離れて暮らす側の親は、養育費を支払う義務があります。たとえば、配偶者の浮気が原因で離婚する場合も、親権が有責配偶者側にあるのであれば養育費を支払わなければなりません。子どもに対する義務であるため、免れることはできないのです。
子どもがいる場合は、生活費だけでなく教育費もかかります。相手方から養育費を受け取ることができますが、滞りなく支払われるとは限りません。もちろん養育費だけでは生活できないでしょう。子どもを引き取り離婚することを考える場合は、自身の収入と養育費や児童扶養手当などを踏まえた上で、「離婚後も生活できるかどうか」を冷静に考えてください。
離婚にはメリットとデメリットがあります。ご自身に安定した収入がある方は離婚に踏み切っても大きなデメリットがないかもしれません。しかし、ご自身に収入がない場合や子どもが小さくて働けない場合などは、生活が困窮する可能性もゼロではありません。これらのデメリットを考慮した上で、離婚を検討しましょう。
浮気をした配偶者や相手方に制裁を加えたいのであれば、「慰謝料」を請求することは可能です。慰謝料を請求して反省を促すことができますので、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
4、弁護士に相談する際にすべき準備
配偶者の浮気問題を弁護士に相談する際は、次の準備をしておくとスムーズに話が進みます。建設的な打ち合わせにするためにも、聞きたいことをメモしておくことのほか、できる範囲で準備することをおすすめします。
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(1)不貞行為の証拠やメモを用意しておく
不貞行為が確かであれば、その証拠やなければ時系列がわかるメモを用意しておきましょう。請求可能な慰謝料の目安がわかります。また、相手の名前や連絡先がわからなければ慰謝料が請求できません。わかるのであれば控えておきましょう。ただし、わからなくても配偶者には慰謝料請求が可能ですし、調査する方法もありますのでご安心ください。
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(2)家族の財産をまとめておく
離婚を前提に話し合う場合、財産分与が必要になります。財産分与の際は、夫婦の共有財産を把握して、正しく分割しなければなりません。離婚の意思を相手に察知される前に、共有財産を確認しておくことで、財産隠しを阻止できます。相談前にまとめておきましょう。
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(3)離婚するのか、慰謝料を請求するのかを決めておく
弁護士に相談する前に、離婚するつもりなのかもしくは、慰謝料だけ請求するのかを決めておきましょう。どうしても決まらない場合は、弁護士と相談しながら決めても大丈夫です。
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(4)子どもがいる場合の親権について考えておく
子どもがいる場合、親権をどうするのかを決めておきましょう。弁護士に相談して、希望通りになるとは限りませんが、子どもに対する自分の意思をはっきりさせておいてください。
5、まとめ
配偶者の浮気を弁護士に相談する場合であっても、相談できる時間には限りがあります。規定の時間内に建設的な相談をするためにも、聞きたいことはメモをしておく、証拠となるものは持参するなどの準備をしておきましょう。
配偶者が不貞行為をした場合は、離婚してもしなくても慰謝料請求が可能です。ひとりで悩まずに弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスでは、離婚に関する相談を随時受け付けています。お気軽にご連絡ください。
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