離婚相談を弁護士に依頼する前に! 熟年離婚のメリット、デメリットを考えてみる
- 離婚
- 離婚
- 相談
- 弁護士
- 熟年離婚
今まで歩んできた人生のうち長い年月を共に過ごした大切な相手。しかし、残された人生を思うと、離婚という選択肢が頭をよぎらないといえばウソになる。私にとって離婚という選択肢は本当に間違っていないのか?
熟年離婚をするにあたってお悩み中の方へ、熟年離婚についてのメリットやデメリットなどについてベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説いたします。
1、熟年離婚とは
そもそも、熟年離婚とは何のことでしょうか? その言葉の通り、熟年の夫婦が離婚をすることをいうのでしょうか?
熟年離婚とは古くからつかわれている言葉ではなく、2005年に放送されたテレビドラマのタイトルであり、流行語にもなった言葉です。そのために正確な定義はありませんが、一般的には結婚してから20年以上後に離婚することを熟年離婚と認識されているようです。
すなわち、例えば70代夫婦が離婚する場合であっても、その結婚歴が10年ほどであれば熟年離婚にはあてはまらないようです。
2、熟年離婚をするメリットとデメリット
20年以上も一緒に時を重ねてきた相手との別れには、メリットもあればデメリットもあると考えられます。こちらではその両方を考えてみます。
-
(1)熟年離婚をするメリット
① 旧姓へ戻ることができる
20年以上も前に夫または妻の姓にしたが、その後に親兄弟などの死などの事情によってやっぱり旧姓に戻りたいと考えている場合、離婚をすることによって、旧姓に戻ることを選択することが可能になります。もちろん、現在の姓を選択して離婚することも可能です。
② 相手と離れることができる
当然といえば当然ですが、離婚をすることによって夫または妻と離れて暮らすことができます。婚姻中は原則として夫婦は同居しなければなりません。熟年離婚を考えた理由に少しでも相手への不満がある場合、こちらはメリットになるでしょう。
離婚をすることによって夫または妻の親族と法律上の縁がきれます。夫または妻の親を介護している場合には、離婚後は介護をする必要は法律上はありません。
③ まとまったお金を手にすることができる可能性がある
20年以上一緒に連れ添っている間に貯金やマイホームなど財産が増えている場合、離婚をして財産分与をすることによってまとまったお金ができるかもしれません。まとまったお金は、今後の人生を充実させるために役立つこともあります。
④ 恋愛をすることが自由になる
結婚している時には夫または妻以外といわゆる不倫をすることは法律上も社会的にも認められませんが、離婚をすることによって新たな相手と新しい恋をすることが自由になります。
⑤ 自由な時間が増える
結婚して一緒に暮らしている場合、夫も妻も多少なりとも相手のためにつかっていた時間があります。離婚後は洗濯や掃除も自分の身の周りだけすればよく、収入も自分が生活できる分だけで足ります。相手へつかっていた時間は自分のためにつかうことができるのです。 -
(2)熟年離婚をするデメリット
① 喪失感
20年以上連れ添ってきた相手をどんなに憎んで別れたとしても、良くも悪くもいて当たり前だった存在がいないことにふと寂しさを感じてしまうことがあるかもしれません。離婚後早速彼氏ができたり再婚をしたりするのであればこの喪失感は薄れそうではありますが、特にそのような予定のない方は喪失感を覚悟しておくべきかもしれません。
② 頼れる相手がいなくなる
熟年離婚を考えている方は、「結婚中も夫または妻に頼ったことなどない!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、法律上、夫婦には相互扶助義務があります。例えば夫が生活費を妻に全く渡さずに餓死させるようなことは法律が許しません。しかし、離婚をして夫婦ではなくなると助け合う義務はお互いに当然なくなります。両親は既に他界している、子どももそれぞれの家庭を持っている、といった場合にはいざという時にとても困るかもしれません。孤独死が社会問題化している今、十分に考えなくてはならないと思います。
③ 日常生活の不便さ
熟年離婚した夫婦が働いている場合、二人でやってきた生活を一人でやっていくことに不便を感じるかもしれません。例えば夫または妻が家事全般をしてくれていた場合、今までは仕事だけをしていればよかったものが自分の分だけとはいえ家事がプラスされます。もう助けてくれた人は隣にいません。逆に夫または妻が働いてくれていた場合、今までは家事だけをしていればよかったものが、今後は自ら収入を得なくてはなりません。婚姻中にパートなどもしていなかった場合には久々の社会復帰ということで就職活動から始めなければならない方も多いのではないでしょうか?
④ 周りの目が痛い
長年夫婦であった二人が離婚する場合、世間は好奇の目で見るかもしれません。親族がいる場合にはおせっかいな話をされるかもしれません。
3、熟年離婚に関する相談相手
「離婚は結婚の何倍も疲れる」と言われることがあります。結婚は、原則として婚姻届を作成して役所に提出すれば成立します。人生の一大ハッピーイベントである結婚を前に心もウキウキと踊り、婚姻届の作成や提出を苦に思う方は少ないでしょう。
離婚の場合にも離婚届を作成して役所に提出すれば形式的には離婚は成立しますが、結婚している間にマイホームを手に入れていたり、子どもがいたり、様々な解決すべきことがある場合にはそちらの手続きも必要になります。これが20年以上連れ添った夫婦ともなると、解決すべき手続きはいっそう増えてもおかしくありません。
そして何より、夫や妻と離婚について話し合いをするということは、精神的にも体力的にも負担になると思われます。一人で悩むことに疲れた上、離婚といったデリケートな問題を友達や家族などに相談をすることは気が引けるという方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合の相談相手をご紹介します。
-
(1)離婚カウンセラー
離婚について悩んだとき、最適な相談相手が身近にいない場合には、離婚カウンセラーに相談するという方法があります。
-
(2)地方自治体が運営する女性センター
市区町村などの地方自治体が女性の様々な悩みを相談することのできるサービスを運営していることがあります。自治体によって女性センターや女性相談室などの様々な名称がつけられています。DVなどの問題はもちろんですが、女性に関わることであれば相談が可能とされています。相談料は自治体の住民は無料とされているところも多いですが、相談前に料金や相談することのできる内容などをご確認されることをおすすめします。
-
(3)弁護士
離婚カウンセラーや女性センターの相談員には離婚自体をするべきか否かを相談することができますが、慰謝料や財産分与などの法律的な問題の専門家ではありません。相手に非があって離婚をしたいけれど相手が受け入れてくれない、子どもの親権について争いがあるなどといった法律的な内容は弁護士に相談することをおすすめします。
4、熟年離婚で弁護士に依頼するには
-
(1)弁護士費用
弁護士に依頼したいが、費用が気がかりだという方も少なくないでしょう。
依頼する法律事務所によって、弁護士費用の金額や支払い方法などが異なります。
法律相談料の相場は30分5000円程度ですが、最近は初回相談料無料という事務所も増えてきました。
正式に弁護士に依頼する場合には、依頼する際に支払う着手金と、事件の終了時に支払う報酬が必要になります。
また、協議離婚をする場合と調停離婚をする場合と裁判離婚をする場合では弁護士費用も異なります。話し合いで解決する協議離婚よりも裁判手続きが必要になる裁判離婚の方が弁護士の手間がかかる分、費用もかかるのです。 -
(2)弁護士への相談時期
離婚自体を悩んでいる場合にはメンタル的なサポートをご紹介しましたが、離婚を決意した場合にはできるだけ早い弁護士への相談をおすすめします。熟年離婚の場合、若い夫婦と違って財産分与などのお金の問題がある夫婦も多いのですが、専門的知識がないために受け取ることができるはずだった財産に気付かないおそれがあります。また、離婚理由が浮気やDVなどの場合、財産分与とは別に慰謝料を請求することも可能です。
夫婦だけで離婚の話し合いをしていると、お互いのドロドロした感情が渦巻いていき、「お金なんていらないからさっさと離婚したい!」となってしまいがちです。そうなる前に離婚について専門知識を持つ弁護士を味方につけておくことによって、今後の人生を豊かにするための資金を夫婦のみの話し合いよりも多く手にすることができる可能性があがると考えます。
また、浮気やDVで慰謝料請求をする場合、浮気やDVを証明する証拠が必要になります。早い時期に弁護士に相談すれば、どのような証拠が有効か、どうやって証拠を入手するかといったことも助言してもらえます。
まず自分で交渉して、うまくいかなかった場合に弁護士に依頼すると、その時点ですでに相手が証拠を隠したり破棄したりしてしまっている可能性があります。そのような事態を避けるためにも、できる限り早い段階で弁護士に依頼をした方がいいのです。
弁護士は依頼者の味方ですので、一人で悩むよりもずっと心強いでしょう。弁護士は守秘義務を負っているので、依頼をした場合はもちろん、相談だけの場合でもその内容を相談者の知人などに話してしまうようなことはありません。 -
(3)依頼すべき弁護士事務所の探し方
離婚という一大事のサポートを依頼するのですから、担当弁護士探しはとても重要といえます。信頼できる親族や知人の紹介や、ツテがない場合にはインターネットで信頼できそうな弁護士を探したり、または離婚についてTVなどでコメンテーターとして話をしていたり、離婚関連本を出したりしている弁護士をあたることも方法の一つでしょう。なお、法テラスでは無料法律相談はできるものの、個別的に弁護士紹介をすることはしていません。
初回相談は無料としている事務所や分割払いを認めている事務所、慰謝料を受け取ってからの支払いを認めている事務所などをあたって、是非信頼のおける弁護士を味方につけてください。
5、まとめ
熟年離婚をすること自体をまだ悩まれている方は離婚カウンセラーや自治体のサービスなどを利用して熟考してください。
もしも離婚をすることを決めたものの法律的に分からないことがあって困っている場合にはできるだけ早く専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 札幌オフィスの弁護士は、離婚相談や訴訟などを数多く経験しています。過去の経験より、相談者様にとってベストな提案ができるように努めています。
夫婦間にあるトラブルの解決もお任せください。ベリーベスト法律事務所の弁護士は悩みに悩んで熟年離婚という一大発起をして新たな人生を歩みたいと考えている方を全力でサポートいたします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています