不倫相手の夫から慰謝料請求された! 家族や会社に秘密にしたまま解決できる?
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令和元年の人口動態統計をみると、北海道の離婚率(人口千対)は、1.89であり、全国平均の1.69(人口千対)を上回っています。
※出典「令和元年 人口動態統計」より
離婚した理由は夫婦によりさまざまだと思いますが、不倫など異性関係が原因のものもあるでしょう。
今回は、不倫のなかでも既婚者同士が男女の関係となる「ダブル不倫」において、自身の配偶者にはその関係がバレていないが、相手方の配偶者にだけ知られてしまった場合の対処法をご案内します。
自身の妻(または夫)にはまだ知られていない段階で慰謝料の請求を受けた場合、最後まで秘密にしたまま解決することは可能なのでしょうか?
1、どこからが不倫(不貞行為)?
不倫は法律(民法)上の不法行為ですから、基本的には慰謝料を請求されれば支払わなければなりません。このとき重要なのが、不貞行為の存在の有無です。
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(1)不貞行為とは?
法的に不倫の慰謝料請求が認められるためには、不貞行為があったことの証明が必要になります。
不貞行為とは肉体関係のことをいいます。法律上は不倫や浮気という言葉を使わないため、不貞行為という言葉を用います。
不倫に対する慰謝料請求のポイントは「肉体関係がある」ことです。肉体関係がない場合には慰謝料の支払いを拒否できることが多く、肉体関係を示す証拠がないときにも、拒否できる可能性があります。反対に、相手との肉体関係を示す証拠(写真など)を提示された場合、支払いを避けることは難しいでしょう。 -
(2)職場の同僚と食事やキス……不倫になる?
会社の同僚とデートをした、キスをしたということでは、慰謝料請求の対象にならないのでしょうか?
一般的な感覚では、配偶者にそのようなことをされたらとてもつらいはずです。しかし、肉体関係がない場合には、慰謝料請求が認められないことがほとんどとなります。
ただし、慰謝料は受けた精神的苦痛に対して支払われる金銭ですから、不貞行為(肉体関係)がない場合でも、頻繁に二人きりで宿泊するなど、社会通念に照らして度が過ぎていると判断される場合には、金額は低くなりますが慰謝料請求が認められることがあります。
判例(裁判における前例)上、不倫に対する慰謝料請求のポイントは、「夫婦一方が相手方に対して有する貞操権の侵害」と「平穏な夫婦関係の破壊」とされています。
2、不倫していたことは周囲に知らされる?
職場の女性との不倫を相手の夫に知られ、「不倫していたことをあなたの奥さんと会社に伝えます」などと言われた場合、どのように対処すると良いのでしょう?
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(1)相手側の配偶者から「不倫をバラす」と言われたら?
不倫をされてしまった側は、大きな悲しみや怒りの感情を持つでしょうから、あなたに社会的制裁を加えたいと考えるかもしれません。ただし、そのような行動を起こさないために、認められているのが慰謝料請求の制度です。
また、たとえ不倫が事実だとしても、あなたの社会的地位を下げるために周囲に公表することは「名誉棄損」となることがあります。具体的には、インターネット上に書き込む・不倫当事者の家族や会社に知らせるなどの行為です。
名誉棄損と認められれば、相手は刑事と民事両方の責任を問われる可能性があります。しかし、「バラす」と言われた時点で「名誉棄損で刑事責任を問われますよ!」などと言ってしまうことは、相手を逆上させてしまう恐れがあり危険です。
感情的にならず、相手から言われた内容を弁護士に伝えたうえで、対処法を相談するのが望ましいでしょう。 -
(2)妻に秘密のまま解決するには?
不倫相手側の夫婦が離婚しないのであれば、慰謝料金額はそうでない場合よりは、低額となり、それを配偶者に知られることなく慰謝料を支払うことができれば、秘密にしたまま解決することも可能といえます。
しかし、自分ひとりで慰謝料請求に対応する場合、郵送物の窓口が自宅となりますので妻に気付かれてしまうことがあります。また、対応を間違うことで被害者である相手方の夫から周囲にバラされてしまう恐れもあるため、ひとりで解決することは困難だといえるでしょう。 -
(3)トラブルを避けるため弁護士に依頼する
弁護士に依頼することで、家族や会社などに知らされるリスクを減らすことができます。
- やりとりの窓口を弁護士にすることができるため、家族に気付かれにくい
- 「周囲に言いふらさない」「何度も慰謝料を請求しない」など、重要事項を記載した示談書を作成できる
- 慰謝料を支払うことになった場合でも常識的な金額に抑えられる
- 万が一、家族や会社にバラされたときに法的手段で対応できる
以上のようなメリットがあるほか、不倫や慰謝料に関する知識や経験が豊富な弁護士に相談することで、的確なアドバイスを受けることができます。
ベリーベスト法律事務所では無料相談も行っておりますので、おひとりで苦しまず、お気軽にご相談ください。
3、少しでも慰謝料を減額するために
慰謝料を支払うことになったとき、少しでも減額するためにはどうしたら良いのでしょう?
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(1)不倫慰謝料の相場
慰謝料の額に決まりはありませんから、当人たちが納得するのであれば、慰謝料の額はいくらでもかまいませんし、もし相手が「慰謝料はいらないから謝罪してください」という場合には慰謝料が発生しないことになります。不当な請求に応じてしまわないよう、相場を確認しておきましょう。
不倫に対する慰謝料の相場は、一般的に数十万~300万円ほどと言われていますが、あくまでもケース・バイ・ケースです。
相手夫婦が離婚に至っていない場合などにはもっと低額になることが多く、反対に、不倫が原因で離婚した場合には慰謝料が高額(相場くらい)になると考えて良いでしょう。
過去には、夫が妻以外の女性と交際していた事例における裁判で10万円の支払いを命じる判決が出ています(東京簡易裁判所:平成15年3月25日判決)。このケースでは、不貞行為の証拠がなく、夫婦も離婚に至っていないことから、請求を大幅に下回る金額となりました。
一方で、不倫相手の夫の勤務先に、妻の不倫を知らせる内容のハガキを10通送ったなど悪質性の高い事例においては、500万円の支払いを命じる判決が出ています(浦和地方裁判所:昭和60年判決)。
ご紹介したように、不倫の状況やその後の夫婦関係などの違いによって、金額が大きく変わり、「このケースでは○円」と簡単に判断できるわけではありません。
高額すぎる請求を受けた場合や、請求された慰謝料の額が適正なものか判断するのが難しい場合などは特に、弁護士に相談することをおすすめします。 -
(2)慰謝料を支払わなくて良いケースとは?
不倫の慰謝料は、原則として、相手から請求されたら支払わなければなりませんが、なかには支払わなくて良いケースもあります。
具体的には「不貞行為(肉体関係)がない場合」「不倫相手が既婚者だと知らなかった場合」「夫婦関係がすでに破綻していた場合」「脅迫などによる、自身の意思に反する不貞行為だった場合」などです。
ただし、いずれも簡単に認められるわけではありませんので、ご自身で判断して請求を放置することなく、弁護士に相談するなどして適切な対応をとるようにしましょう。 -
(3)慰謝料を減額するためにできること
もっとも大切なのは、謝罪の気持ちを持って誠実に対応することでしょう。深く反省し、真摯に謝罪することで相手が減額に応じるケースもあります。また、収入が少ない場合などには、支払える限度額を伝えることも有効でしょう。収入がない、あるいは少ないからといって支払わなくて良いわけではありませんので注意しましょう。
気持ちの面とは別に、不倫相手との関係がどのようなものだったかによって減額となることもあります。
たとえば、「一度きりの不貞行為だった」「不倫期間が短い」などの場合には慰謝料が低額になることが多いため、それらの事実をもとに弁護士を介して交渉することで減額となる可能性もあるでしょう。
4、不倫が発覚!慰謝料請求への初期対応
不倫の慰謝料を請求してくる相手は、不倫相手の夫(または妻)だけとは限りません。最初にコンタクトをとってきた相手別に対処法をご案内します。
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(1)慰謝料請求をしてきたのが不倫相手の配偶者だった場合
この場合には、直接自宅を訪ねたり、電話やメールなどで連絡を取ってくることが多いでしょう。内容証明郵便(どのような内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを日本郵政が証明してくれる郵便)が届くことも考えられます。
内容証明やメールなどの場合には、すぐに返事をせず、どのような内容の文面が届いたのかを弁護士に提示し、相談することをおすすめします。
電話など、その場で何らかの返事を求められるケースでは、可能な限り録音などで記録を残しておくことをおすすめします。相手から慰謝料金額に対する合意を求められてもすぐに返事をせず、改めて返事をする旨を伝えるのが望ましいでしょう。
また、周囲に知らされるリスクや裁判に持ち込まれるリスクを可能な限り避けるため、相手からの連絡や請求を無視することはしないでください。 -
(2)慰謝料請求をしてきたのが弁護士だった場合
突然、弁護士を名乗る人物から連絡がきたら驚いてしまいますが、焦らずに連絡を取ってきた相手の名前と事務所名を確認しましょう。ちなみに、弁護士の場合、はじめに内容証明郵便が送られてくることがほとんどとなります。
相手が弁護士に依頼していた場合、ひとりで対応するのは非常に困難となります。可能であればあなたも弁護士に相談しましょう。
5、まとめ
今回は、不倫の慰謝料請求をされたとき、周囲に知られずに解決する方法をご案内しました。
不倫自体は良くないことではありますが、周囲にバレることを恐れ、慰謝料請求にひとりで応じようとすると、とても苦しんでしまうと思います。
ベリーベスト法律事務所札幌オフィスでは、それぞれのケースにあった適切な対処法をご提案しておりますので、おひとりで抱え込むことなく、ぜひご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています