離婚を弁護士に相談するべきか悩んだ時に知っておきたいこと
- 離婚
- 離婚
- 弁護士
- 相談
離婚問題が発生したら、自分一人で解決しようとするよりも、弁護士に相談した方が有利になる可能性が高まります。
ただ、そうはいっても「弁護士」というと敷居を高く感じてしまい、相談をするべきかどうなのかと悩んでしまわれる方も少なくありません。
今回は、離婚問題で悩みを抱えてしまった際、どこに相談すれば良いのか、弁護士に相談するならそのタイミングはいつなのか、弁護士への相談前に準備しておきたいことや費用の相場について、詳しく解説していきます。
1、離婚問題の相談先やタイミングは?
離婚しようかどうか迷ったときや、具体的な離婚の進め方がわからなくて困った場合など、どのような相談先があるかご存知でしょうか?
弁護士以外にも離婚問題を相談できる場所がありますので、まずは、離婚問題の相談先や、それぞれの相談場所を利用すべきタイミングをご紹介します。
-
(1)離婚カウンセラー
① 離婚カウンセラーとは
離婚カウンセラーは、夫婦関係を見つめ直す手助けをしてくれる人です。
臨床心理士や夫婦カウンセラーの資格を持っている人もいれば、無資格な人もいます。無資格で夫婦カウンセラー業を行っても違法ではありません。また、臨床心理士も夫婦カウンセラーも民間資格であり、国家資格ではありません。最近ではカウンセラー向けの資格として「公認心理師」という国家資格ができたので、こちらの資格を取得する人も増えてくるでしょう。
離婚カウンセラーに相談すると、今の夫婦関係の実情を捉えやすくなりますし、夫婦関係を修復するためにできることや離婚した場合の問題などを把握できるので、「離婚すべきか修復を目指すべきか」の決断をしやすいです。
また、夫婦の片方のみで相談できる離婚カウンセラーもありますが、夫婦双方で相談する方式もあります。夫婦一緒にカウンセリングを受けることによって、より正確にお互いが抱える問題点を把握して今後の選択に活かせます。また、夫婦の連帯感を強めて効果的に関係修復につなげられることもあります。
相談方法は、面談の方式をとることが多いですが、まずは電話で話を聞いてもらえるカウンセラーもいます。
② 利用料金
離婚カウンセラーの相談料金は、相談先のカウンセラーによって大きく異なりますが、1時間5000円~2万円程度になることが多いです。有名な離婚カウンセラーなどの場合には料金が上がるようです。
③ 利用すべきタイミング
離婚カウンセラーに相談すべきタイミングは、以下のようなときです。
- 離婚しようかどうか迷っている
- どうしても相手とやり直したいと考えているけれどうまくいかない
- 相手が離婚したいと言ってきた
- 離婚を決意していないけれど、誰かに話を聞いてほしい
- 自分の本当の気持ちを知りたい
- 配偶者と一緒に復縁するための努力をしていきたい
-
(2)家庭裁判所の家事相談室
① 家庭裁判所の家事相談室とは
次に、離婚の相談先として「家庭裁判所の家事相談室」があります。
これは、家庭裁判所において、離婚調停(夫婦関係調停調停)や婚姻費用分担調停、離婚訴訟などの手続きについての説明を受けられるサービスです。
お近くの家庭裁判所に行って相談の申込みをすると、担当者から利用したい手続きの説明をしてもらえます。
家庭裁判所の家事相談室で相談できるのは、あくまで家事調停や裁判などの「手続きの種類やそれぞれの概要、利用方法」であり、「法律的なアドバイス」ではありません。
たとえば、申立書の作成方法や書き方は教えてもらえますが、「財産分与はいくらもらえるのか」「慰謝料請求できるのか」など法的なアドバイスは得られません。これら法律問題については、次に紹介する「弁護士」に質問する必要があります。家事相談室で相談を受けてくれるのは裁判所の人であり、弁護士などの法律家ではありません。
② 利用料金
家庭裁判所の家事相談室は、裁判所による公的なサービスなので、利用料金は無料です。
③ 利用すべきタイミング
家事相談室を利用すべきケースは以下のような場合です。
- 離婚調停や婚姻費用分担調停を申し立てたい
- 相手と離婚したいが、協議離婚の交渉が決裂した
- 相手と別居したら生活費を払ってもらえなくなった
- 弁護士に依頼せず、自力で離婚問題を解決したい
-
(3)弁護士
① 弁護士とは
弁護士は、法律問題のエキスパートです。離婚を進めるときにはさまざまな法律問題がかかわるものです。たとえば子どもの親権や養育費、財産分与や慰謝料、面会交流、年金分割などについて決めなければなりません。また離婚調停が不成立になったときには離婚訴訟を起こす必要がありますが、離婚訴訟をするときには素人が1人で取り組むと非常に不利になりますから、弁護士に対応を依頼すべきです。
弁護士に相談をすると、「そもそも離婚できるのか」「財産分与はどのくらい払ってもらえるのか」「慰謝料を請求できるのか」「子どもの親権をとる方法」「証拠の集め方」など、具体的な離婚の対策方法についてアドバイスをもらえます。
そこで、離婚しようと決めているならば、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
相談は通常予約制となっており、受付方法はホームページからの問い合わせや電話、メールなどの事務所が多いので、まずは連絡をして法律相談の予約を取りましょう。
② 利用料金
弁護士に離婚相談をすると、法律相談料がかかります。相談先の法律事務所によって多少費用設定が異なりますが、相場としては30分5000円(+税)程度でしょう。
③ 利用すべきタイミング
弁護士に離婚の相談をすべきタイミングは、以下のとおりです。
- 離婚を決意した
- 離婚したいのに相手が応じてくれない
- 相手と協議離婚の話し合いをしているが、スムーズに進まない
- 有利に話し合いを進めたいが、その方法がわからない
- 相手と離婚の話し合いをするのが苦痛
- DV事案であり、自分1人で相手と話し合うことができない
- 離婚調停が不成立となり、離婚訴訟を起こしたい
- 不倫相手に慰謝料請求をしたい、あるいは慰謝料を請求された
- 相手から離婚を突き付けられたが、自分としては離婚したくない
- どうしても親権をとりたい
- 自分たちで取り決めた離婚条件が不利になっていないか確認してほしい
以上のように、離婚トラブルで悩みを抱えた場合、弁護士は幅広く力になることができます。
2、離婚問題を弁護士に相談する前に準備しておきたいこと
次に、離婚問題を弁護士に相談する前に準備しておきたいことをいくつかご紹介します。
-
(1)離婚原因を説明できる準備
まずは、「離婚原因」を弁護士に説明できるように準備しましょう。
離婚原因とは、自分がなぜ相手方と離婚したいのかということです。たとえば相手が不倫しているからなのか、暴力を振るわれるからか、性格が合わないのか、借金癖があるからなのか、いろいろな事情があるでしょう。
結婚してから今までの流れや相手の問題となる行動、出来事について、時系列にまとめた資料を作成して持参すると良いでしょう。
-
(2)夫婦の財産状況を把握
次に、夫婦の財産状況を把握しておくことが重要です。離婚の際には「財産分与」が問題になることが多いためです。財産分与を進める際、相手が財産隠しをする可能性があるので、先にこちらが調査して資料を入手しておく必要があります。
たとえば夫婦の名義の預貯金通帳の写しをとったり生命保険証書のコピーをとったり、自宅不動産の登記事項証明書を取得したり不動産の簡易査定書を取り寄せたりしておきましょう。不動産の簡易査定書をとりたい場合には、一般の不動産業者に簡易査定を依頼すると良いです。自宅近くの不動産屋でもかまいませんし、ネットの一括査定などを利用してもかまいません。
相手が証券会社の口座を持っている場合には証券口座の内容などもできる限り明らかにしておきましょう。会社や公務員共済の積立を利用している場合などには、定期的に積立金についての案内が来ている可能性があるので、そういったものがあれば確保します。
相手が近々退職する予定であれば、相手の勤務先と、いつどのくらい退職金が入ってくるのか、できる限り調べておきましょう。
こうした財産についての資料を入手したら、可能であれば簡単な財産目録(まとめ表)を作成して弁護士の所に持っていくと話がスムーズに進みます。 -
(3)相手方の収入、給与口座を把握
相手方の収入や給与の口座を把握することが大切です。相手がサラリーマンや公務員であれば、毎月決まった口座に給料が入金されるので、そういった給与振込口座についてもコピーをとって用意しましょう。
相手が自営業者の場合には、売掛金が入金される預金口座があるはずですから、普段取引に利用している銀行口座などを調べてコピーをとります。
また、相手の給与所得や事業収入の金額を把握することも大切です。相手が会社員や公務員ならば、年末や年始に配布される源泉徴収票を取得して保管します。月々の給与明細書やボーナスの明細書もあれば保管しておくと良いです。
相手が自営業者の場合には、確定申告書の控えを探してコピーをとっておきましょう。
収入の証明資料については、毎年市町村から送られてくる県民税や市民税の通知書でもかまいません。 -
(4)相手が不倫している場合、不倫の証拠、不倫相手の名前・住所などを把握
相手が不倫している場合には、不倫の証拠が必要です。証拠として弁護士に提示するには「メールを自分の目で見た」というだけでは足りません。メールがあるならば「物」の形で示す必要があります。たとえばメールの画面を写真に撮るとかプリントアウトするなどして弁護士の所に持参しましょう。メールの他に、SNSの記録や写真、領収証、通話記録なども不倫の証明資料となります。
自力での証拠収集に限界があると感じる場合には、探偵事務所に依頼して不倫の調査報告書を入手しておくのも1つの方法です。
相手方らがホテルに行ったり不倫相手の家に宿泊したりしたところをとらえた調査報告書があれば、裁判でも利用可能な不倫の証拠となります。
また、不倫相手の氏名や住所などの素性を明らかにしておくことも必要です。氏名住所がわからない場合、メールアドレスや電話番号から特定できるケースもあるので、そういったものがわかる資料も持参しましょう。 -
(5)DVの場合の証拠
相手から暴力を振るわれているDV事案では、診断書や傷跡の写真、動画など、暴行を受けた証拠をなるべく多く保管して持参しましょう。
3、離婚問題を弁護士に相談するときにかかる費用の相場
次に、離婚問題を弁護士に依頼するとどのくらい費用がかかるのかを紹介します。
弁護士に離婚問題を依頼すると、法律相談料と着手金、報酬金が発生するケースが多いです。
-
(1)法律相談料
法律相談料は、弁護士と直接面談をして離婚問題を相談するときにかかる費用です。
初回の相談料は無料としている事務所もあります。 -
(2)着手金
着手金は、協議離婚の交渉や離婚調停などの具体的な手続きを弁護士へ依頼するときに必要となる費用です。事件対応を依頼して委任契約するときに一括払いするのが原則です。
離婚の場合、どの手続を依頼するのかによってかかる金額が異なってきます。
依頼するとすぐに支払いが必要なので、依頼前に着手金計算をしておきましょう。 -
(3)報酬金
報酬金(成功報酬金)は、問題が解決したときに、解決内容に応じてかかる費用です。依頼者の希望が実現されると報酬金が高額になります。たとえば財産分与で多額の財産を獲得できたら、獲得できた金額に応じて弁護士報酬が加算されます。
離婚問題の場合、離婚が成立したときに基本報酬金がかかり、それに足して経済的利益に応じた金額が加算されることが一般的です。 -
(4)その他の費用
これらの費用以外に「日当」と「実費」があります。
日当とは弁護士が出張したときの手当てです。たとえば遠方の家庭裁判所で調停や訴訟が行われるときに裁判所に出頭するためには1~2日事務所を空けなければなりませんが、そういった際に主張した日数に応じて日当が必要となります。
実費は、事件解決のために実際にかかる費用のことで、たとえば郵便切手や収入印紙代、交通費や宿泊費用などが該当します。実費はどの事務所に依頼しても同じ金額となります。
また、日当と実費は別々に発生しますので、弁護士が遠方に出張すると宿泊費や飛行機代、新幹線代などの実費と日当の両方がかかり、依頼者の負担が大きくなります。
4、離婚問題を弁護士に相談・依頼するメリット
離婚問題を弁護士に相談・依頼すると以下のようなメリットがあります。
-
(1)有利な条件で離婚できる
まず、有利な条件で離婚できる可能性が高くなります。
離婚条件について話し合いをするときには、財産分与や慰謝料、子どもの養育費など法律知識を要することがらを数多く決めなければなりません。専門の法律知識がなければ交渉の際に相手から言いくるめられたり、適正な基準や相場がわからなかったりして不利になってしまう可能性があります。また、自分で交渉すると、どうしても相手から強く言われて妥協してしまったりするので不利になりがちです。
弁護士に依頼すると、法律のプロとしての見地から慰謝料や財産分与、養育費などについて適正な金額を計算しますし、親権争いをするときにもなるべく親権を獲得できるよう対策を練ります。話し合いの段階からきちんと準備しておくとで、後に裁判になっても有利な判決を下してもらえる可能性が高くなります。 -
(2)相手と直接話をせずに済む
離婚交渉を弁護士に依頼すると、トラブルの相手と自分で話し合う必要がなくなります。
自分でトラブルの相手と直接話をすると、非常に大きなストレスがかかりますが、弁護士が間に入ると、すべてのやり取りについて弁護士を介することになるので、気分的に非常に楽になります。 -
(3)離婚調停を有利に進められる
離婚調停をするときには、家庭裁判所に行き、調停委員に対して話をしなければなりません。1人で調停を進める場合、自分で調停委員に対して今までの出来事を説明したり、自分の希望を主張したりして、調停委員を説得しなければなりません。話し下手な人などは不利になりやすいですし、大きなプレッシャーを感じることも多いです。
弁護士に調停を依頼すると、弁護士が調停に同行しますし、必要に応じて弁護士が意見を言うので依頼者は1人で調停委員を説得する必要がなくなります。
このように、弁護士に依頼すると、離婚調停も有利に進められます。 -
(4)煩雑な手続きを任せられる
離婚の際、協議離婚合意書を作成したり離婚公正証書にしたり、離婚調停を申し立てたり離婚訴訟を起こしたりするのは、大変な労力を必要とします。
資料を揃えて収入印紙を購入して家庭裁判所に提出しなければなりませんし、裁判所とやり取りをして期日を調整したり実際に裁判所に出頭したり準備のための書面を作成したりする必要もあります。日頃忙しくしている方には大変な負担です。
弁護士に依頼すると、こうした手続きについては弁護士がすべて行ってくれるので非常に楽になります。
5、まとめ
離婚を考えたとき、あなたの力になれるのは弁護士です。特に離婚を決意されているならば、今後有利な条件で離婚を成立させるためにも弁護士に相談すべきです。弁護士に離婚の相談をすると、離婚後の生活についてのアドバイスなども受けられます。離婚を考えておられるなら、一度ベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています